関西だんじり好きが行く!佐原の大祭夏祭り①

前回の成田祇園祭に続き、今回は佐原の大祭を取り上げようと思います。

佐原(さわら)は千葉県・茨城県の境界に位置し、利根川の水運で栄えた地域です。
川越・栃木と並び三大小江戸として、今も古い町並みが残ります。

佐原で現在のような山車祭りが成立したのは、文政年間(1819~1829)と考えられている(出展:香取市ホームページ 佐原の大祭とは)とのことで、小野川を境界に東側の本宿地区は八坂神社の祭礼として夏に、西側の新宿地区は諏訪神社の祭礼として秋にそれぞれ山車祭りが行われます。

佐原の大祭は平成16年に国指定無形民俗文化財、平成28年11月30日にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
同じタイミングで関西では京都の祇園祭は勿論のこと、伊賀上野のだんじり祭り等がユネスコ無形文化遺産に登録されていますね。

山車は彫刻が施された4輪タイプで、上部に立派な大人形(からくり機構により上下可能)が取り付くのが特徴。
お囃子は流派こそ色々ありますが、一括りに佐原囃子と呼ばれ、この地域で独自に作られ継承されてきたものです。
祭りの見せ場は色々ありますが、「のの字廻し」と呼ばれる交差点などで、一つの駒を軸にゆっくり一方向に回転させるパフォーマンスが有名です。

それではご覧ください。

11:26 佐原河川敷緑地駐車場に到着

午前中はあいにくの雨、雨の中での見物はやりにくかろうと、お昼前を狙って到着しました。

お祭りに際して臨時の無料駐車場が用意されており、そこからシャトルバス(片道200円)・シャトル舟(片道600円・流石水郷の町!)が用意されている、至れり尽くせりっぷりです。

行きはシャトルバスに乗ることにしました。

本数が沢山出ていたので乗るのはスムーズでしたが、道が少し混んでいたので結果的に早いか遅いかは不明。
シャトル舟は渋滞知らずではありますが、逆に乗車定員がバスより少なく、物珍しさから並ぶ人が多いので、どちらが早いかはその時々のタイミングによりそうです。

結局、乗りたい方に乗るで良いんじゃないでしょうか。

12:01 忠敬橋付近で八日市場の山車を発見

バスを降り、新宿地区から本宿地区内へ。
忠敬橋付近で八日市場の山車に遭遇しました。

八日市場の山車は大きな鯉の人形が特徴です。
5年おきに町民の手により作られるそうで驚きです。材質は麦藁とのこと。

もう一台稲藁で作らた鷹の人形を飾る仁井宿の山車がありますが、麦藁や稲藁の飾り物の山車は夏祭りのこの2台だけで、秋祭りや他地域では見ることは出来ないレアなものです。

人形だけではありません。
山車に近づいてみるとびっくり仰天、彫刻も大変素晴らしいものが取り付けられています。

銘を探してしまうのは普段の癖ですね。綺麗に墨書きが残っていました。

格天井のマス一つ一つにも彫刻が!凄い!

鯉の人形以外も見どころたっぷりの山車でした。

12:07 田宿の山車を発見

八日市場の山車を見ていると、向こうから田宿の山車がこちらへ近づいてきました。
人形はイザナギノミコトです。

忠敬橋の手前で転回しました。

ここで踊りが始まりました。
前方へ回って撮ると、町並みと2台の山車が並んで良い感じに撮れました。

忠敬通りに何台か山車が止まっているようなので、連続して見物します。

12:20 上仲町の山車を発見

すぐ近くで上仲町の山車を発見しました。

人形は太田道灌、室町時代の武将です。

駒は集成タイプの4輪。径が大きく、ホイールベースは短いです。
だんじりと同じで車軸は固定されており、後ろ側の梃子で左右に力を加えて方向転換を行います。

こちらも立派な彫刻が施されています。

12:26 下仲町の山車を発見

並びで下仲町の山車が止まっていました。
1822年の製作で佐原最古とのこと。

だんじりと異なる?訳でもないですが、佐原の山車で心得ておきたいのが、一言に製作年と言っても飾物(人形など)・彫刻・天幕それぞれで作られた年代が異なることが多いので、一つ一つ丁寧に確認するのが良さそうです。

だんじりも彫り物の一部を交換したり、躯体や金物が交換されていても江戸・明治時代オリジナルの部分が残っていたら基本的には江戸・明治の作、と言うのと同じです。
この場合、大体交換された部分の彫刻を誰が彫ったのか、という情報がオリジナルの希少価値に負けて謎になりがちなのが、悩ましい点です。

人形は菅原道真。とてもリアリティがあります。

擬宝珠形状が宝珠ではなく、紋でしょうか。各町個性がありました。

だんじりでは個性を持たせるために束に細工を施したりすることがありますが、こんな細工も面白いかもしれません。

忠敬通りにいる山車は見切ったので、位置情報をもとにまだ見ていない山車を探しに行きます。

12:35 山車会館前で浜宿の山車を発見

お祭りが盛んなところには山車会館があるもんですね。後で見に行こうと思います。

人形はタケミカヅチノミコト。比較的ご近所の鹿島神宮に祀られています。

蕨手の龍は枠をはみ出すように彫刻されています。
こんな意匠大好きです。

山車会館と同じ敷地の八坂神社正面鳥居横には各町の予定表が掲示されていました。

ただ、地図の上が北ではなく西になっているようで、佐原初心者には解読が結構難しかったですね…
しかもここで、頼りにしていた公式ホームページで見れる各町山車の位置情報サービスが故障しているとの案内放送が(汗)

近いところに居そうな山車から頑張って探すことにします。

12:48 荒久交差点付近で荒久の山車を発見

少々探しましたが見つけました、荒久です。

人形は香取神宮の御祭神のフツヌシノカミ。

柱を昇っていくような昇龍の彫刻が良かったです。

12:57 小野川沿いで本川岸の山車を発見

昼休みも残りわずか!何とか本川岸(ほんがし)の山車を見物できました。

人形はアメノウズメノミコト。

余談ですが、人形はどれも神様や源氏にまつわるものが多いようです。
だんじりの彫刻は江戸時代は幕府の検閲があるため、徳川家に歯向かっていた武将の彫刻は作ることを許されず、三国志や仙人などの題材が主に採用され、明治時代以降に戦国時代の武将が盛んに彫刻されるようになりますが、同様の現象が佐原でも起きないのかと考えてみました。

結論ですが、それはやはり関西・大阪ならではの現象のようで
①千葉県は石橋山合戦に敗れた頼朝が安房国へ上陸し、上総氏・千葉氏を味方につける等、源氏にまつわるエピソードがかなり豊富な土地柄であること。
②江戸時代の房総は徳川家のお膝元で、徳川家に歯向かった武将のエピソードは無く、そんな武将の墓地も無いと思われます。なので、わざわざそれを題材に起用する理由もない。
といったところではないでしょうか。ご近所、潮来祇園祭に出る山車には1台、真田幸村の人形もあるようですが・・・!?

それぞれの土地柄により、一括りに山車やだんじりといっても彫刻や飾りの題材は変わってくる、と言うことですね。

彫刻のゴツさと貫禄に圧倒されます。

13:09 川岸公園付近で寺宿の山車を発見

本川岸を見て、少し歩くと寺宿の山車を見つけましたが、ノーエ節を奏でながら出発していました。
また後でじっくりと見ることにします。

13:19 山村会館前に到着

山村会館前へ戻ってくると人だかりが出来ていたので近づくと、上仲町がのの字廻しを行っている最中でした。

初めて見るのの字廻し。
ワッショイ、ワッショイの掛け声と、軽快な佐原囃子、回転に抵抗する山車がビリビリと振動する音、圧巻です。

途中から見たので、すぐに終わってしまいました。
もう少し早く着いていれば・・・残念!

休憩を終えた下仲町が山村会館前に入ってきました。

ちなみにのの字廻しはどこでも行われている訳ではなく、山村会館前がのの字廻しポイントと決まっています。
また、山村会館前を通過する際は必ずしものの字廻しをするという訳でもなく、タイミングは予め決まっているようです。

例年はパレードのように各町が連続してのの字廻しを披露する時間があるようですが、今年は恐らく無かったと思われます。

下仲町はそのまま右折するようです。

休憩を終えた浜宿が山村会館前へとやってきました。
浜宿はのの字廻しをするようですので、私もスタンバイします。

廻す位置に据えました。

その②に続きます。

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