柏原市国分神社 旭ヶ丘地車

皆さんこんにちは。
濱八町で活躍していた地車シリーズ。今回は元町の先代にあたる柏原市旭ヶ丘地車をご紹介いたします。

国分地区は中河内でありながら石川型が多く曳行されており、曳き唄を歌いながら夜は派手目の提灯をつける南河内風の祭礼スタイルを行なっている地域で、旭ヶ丘もこれまで古い堺型でその祭礼形態を行っていました。
地車の老朽化もあったのでしょう、この度念願の石川型購入になりました。

しかし、搬入こそされたもののコロナウイルスのために、入魂式はおろか2年間祭礼がお預けになっています。
活躍している姿を見れる日が待ち遠しいですね。

それではご覧ください。

柏原市国分神社 旭ヶ丘地車

◆地域詳細
宮入:国分神社
小屋所在地:会所に隣接

◆地車詳細
形式:石川型(元・折衷型)
製作年:1930年(昭和5年)
購入年:2020年(令和2年)
大工:絹井楠次郎
彫刻:川原啓秀
改修年:1998年(平成10年)
改修大工:吉為工務店
改修彫刻:近藤晃?
歴史:泉大津市元町(昭和5年~昭和59年)
→泉大津市南曽根(昭和59年~平成9年)
→富田林市尺度(平成10年~令和2年)
→柏原市旭ヶ丘(令和2年~)

◆歴代旭ヶ丘地車
・現地車:羽曳野市尺度より購入。
・先代:堺型。現地車購入に伴い、解体保存。

姿見

左が前方、右が後方。

元は折衷型でしたが、石川型に改造されています。
尺度以外には例がない改造ですが、違和感ない姿見です。

側面より

石川型にも色々ありますが、この地車は大屋根側にしか勾欄を回さない仕様としてあります。
大屋根を支える柱が4本になっているところは、やはり折衷型の名残ではないでしょうか。石川型の場合6本であることが殆どです。

斜め前より

斜め前より

破風

屋根周りはオリジナルではありませんが、あえて石川型風には寄せておらず、ここだけ切り取って見るとやはり折衷型の装いです。

枡組

枡組もオリジナルのものをそのまま利用しています。段数は控えめです。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

3面とも獅子噛になっています。
誰もが羨む川原啓秀の獅子噛を持っているのがこの地車の最大のポイントです。大変格好良いですね。

特別にこの角度からもう一枚。
いつ見ても「いいなぁ・・・」と、なります。

懸魚・桁隠し

大屋根前方
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『龍』

古風に獣の題材が採用されています。

大屋根後方
桁隠し:『雲海』

小屋根
懸魚:『素盞嗚尊八岐大蛇退治』
桁隠し:『龍』

後方は神話から題材を取っています。桁隠しも一体と捉えるべきでしょうか。

車板・虹梁

大屋根前方
車板:『龍』
虹梁:『桜井の別れ』

住吉型のように手前に張り出した大きな車板があります。
正面からもよく見えますので、カチアイの時には獅子噛と龍が前を睨みながらこちらに突進してきていたのでしょう。格好いいですね。

小屋根
車板:『川中島の合戦』
虹梁:『龍』

「神戸 川原啓秀」の銘が無いかと探していましたが、ここではなく三枚板にあったようです。
虹梁は石川型に改造された際に新調されたと思われます。吉為工務店なので近藤師かな?

枡合・虹梁

右面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『楠木正行如意輪堂の場』

右面小屋根側
枡合:『雲海』
虹梁:『龍』

左面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『村上義光錦旗奪還』

虹梁は太平記で統一です。

左面小屋根側
枡合:『雲海』
虹梁:『龍』

木鼻

木鼻:『阿吽の唐獅子』

全身彫刻の唐獅子が全部で10体あります。

水引幕

水引幕:『天乃岩戸』

右面

左面

神話の題材が採用されました。

脇障子

石川型によくある小さな脇障子は取り付きません。

勾欄合

前方:『花鳥風月』

勾欄はどれも石川型改造時に新調されたものです。

右面:『花鳥風月』

後方右面側:『花鳥風月』

左面:『花鳥風月』

後方左面側:『花鳥風月』

土呂幕

右面:『龍』

左面:『龍』

尺度時代はこの意匠でしたが、旭ヶ丘ではどうなるのでしょうか、楽しみです。

台木

斜め前より

台木も石川型改造時に新調されたものです。

金具

①破風中央:『唐草模様・宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端部:『唐草模様』
④垂木先:『菊紋』
⑤縁葛:『牡丹に唐獅子』

いかがでしたでしょうか。

川原啓秀の非常に良い彫刻を持つ地車、無事に次の嫁ぎ先が見つかって良かったです。
願っても簡単に手に入れることが出来ない昭和の名車、姿は大きく変わり、生まれの泉大津からもどんどん遠い所へ行ってしまいましたが、これからも末永く活躍してくれることでしょう。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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