書籍紹介 森田玲 著 『日本だんじり文化論』

皆さんこんにちは。

良い書籍に出会いましたので、皆さんにも是非ご紹介させていただきたく、この記事を書くことにしました。

ご紹介する書籍は
森田玲 著 『日本だんじり文化論』
つい最近の2021年6月20日に発行されています。

そもそもだんじりの言葉の由来は何か、そして現在の地車の構造はどのようにして生まれたものか、非常に明快に解説されている書籍です。

私達がついつい「こう言うもんだろ・・・」で思考停止してしまうところを、多方面の視点から深掘りして理由を明記してくれていますので、「あれにはちゃんとその意味があったのか!」と、読みながら脳内で電撃が走るような衝撃体験を何回もすることが出来ます。

↑今ならAmazonでも購入することが出来ますので、ご興味がある方は是非!
私は必携の教科書だとさえ思います。


下記は適当な自分語りですので、興味がある方は読んでください。


実は私もだんじりの由来についての話題は、春頃から思い悩んでいる部分がありました。
きっかけは伊賀上野だんじり会館を訪れたことです。

そもそも伊賀のこの山車をだんじりと呼ぶのか・・・

地車は祇園祭が由来と言うけれども、伊賀のだんじりは割と祇園祭に似ているけど、地車は全然違うよな・・・
小ぶりで自動車~2tトラック位のサイズ感で軽快に扱えるし・・・

そもそも祇園祭の山車は切妻破風なのに(実際は唐破風のものもあります)、なんで地車は専ら唐破風なんだ?そりゃ神社にも唐破風が使われているから、神様が乗る地車がそれに近しくなるのは分からなくもないんだけど・・・

唐破風について調べる

と、言うか唐破風は日本が生み出した物だったのか・・・唐なんて文字がつくから中国由来のものかと思っていたよ、日本建築史全然勉強出来てないやん・・・
ところで、唐破風の出始めってどこにあるんだろう?そして、山車に繋がるものってあるんだろうか?

調べる

検索結果の例)
生涯一設計士・佐々木繁の日々:平安絵巻の『牛車』の“唐破風” … “唐破風”は牛車から始まったのか?
http://blog.livedoor.jp/shyougaiitisekkeisi2581/archives/51813288.html

両方ヒット!平安時代の貴族の乗り物として牛車というものがあるらしい
しかも、京都の下鴨神社に現物があるらしい

行ってみる

近くには寄れませんでしたが、何とか姿を見ることに成功(葵祭のタイミングでよく見れるようになるみたいです)

おお、何となく山車っぽい面影あるやん!
ただ、牛に曳かせる人の乗り物が神様が乗る地車に転ずる部分の過程が何とも分からんなぁ・・・相変わらず外駒やし・・・

と、言うか神戸はさておき、なんで地車は内駒なんやろか?

他の地域の山車の写真を見てみる

内駒の山車もあれば外駒の山車もあってよう分からんなぁ・・・
交換の効率を考えたらジャッキアップの度合いを考えても外駒の方が良いよなぁ・・・



他の事で忙しくなり思考停止・・・

と、いった感じで頭がモヤモヤした状態になっていたところで、先ほどの書籍に出会ったので、頭に電撃が走るような衝撃体験をすることになった訳です。

私はどうしても仕事柄建築的な見方ばかりをしてしまうのですが、書籍の中でも図示されているように、建築的な見方だけでは辿り着く場所には限界があり、人の動き・芸能を絡めて見なければだんじりのルーツに辿り着くことは出来ません。(まぁお祭り道具ですから当然の結果ですよね・・・)
この書籍は私にその視点の無さをハッと気づかせてくれ、一気に上の次元の思考回路へと連れて行ってくれました。

と言うわけで上記のように私に似たことを少しでも考えたことがある人、その他ちゃんと由来を知りたい人には打ってつけの書籍でした。


おまけ↓

川舟の船体を持つ舟地車。

船体の構造を調べる時に菱垣廻船等も調べて、「う~ん、これから関連性はあんまり見えないな・・・」なんて思ってしまいましたが、菱垣廻船にもだんじりに繋がる部分がちゃんとありました。
そして、船体の構造面ばかりに目が行っており、川御座船の存在には辿り着けていませんでした・・・

江戸時代と令和時代を”とても身近なところ”で繋いでくれるのがだんじりの良い所。
普通に触れるし、他の地域ではそんなことはあまり無いのではないでしょうか。

もっと寄り添って、ルーツのことを考えてあげると、今以上にだんじりのことが愛おしく感じれるかもしれません。

昔と今では曳き方も結構違う部分が出てきているだろうし、これからはどうなるのでしょう。
170年近い歴史を見てきただんじりにはどう映っているでしょうか。

だんじりは天満発祥で各地に伝わって行った・・・の固定概念が邪魔して、どうしても後発的な進化をしたような印象を持ってしまう岸和田・泉州のだんじり。(私だけ?)
しかし、意外や意外・・・岸和田・泉州のだんじりの作法には、他地域では行われていないルーツに近い部分が沢山あったようです。

よくある話、堺のだんじりは岸和田の真似事・・・とか、昭和末期以降の小さい次元の話で思考停止してしまうのはとても勿体なく思えてきます。
村の伝統を守るのはとても大事なことだと思いますが、それとは別で、祭りに携わる人々が元とは異なる文化の方が良いと感じて、現在も継続して元とは異なる文化・歴史を刻み続けているのだから面白いです。(異なる文化というのも大きな視点で見たら誤った表現なのかもしれません)だんじり祭りのやり方に絶対にこうじゃなければいけない、なんてルールはありませんので。

視野を広げると、色んなことが面白く見えてきます。

といった感じで、あまりにも感動したので、記事にしてしまいました。
とりとめもない文章ばかりですみませんでした。

おしまい。

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