皆さんこんにちは。
今年の宝塚だんじりパレードが中止となり、その寂しさから宝塚型地車の記事を最近アップしましたが、昨年見に行きました宝塚の地車からもう一台選んで記事を書きたいと思います。
中山寺の祭礼は10月23日・24日に毎年日付固定で行われており、マニアにとっては各地で行われる秋祭りのフィナーレとして見物に行かれる方も多いかもしれません。
宝塚型では比較的小ぶりな地車ですが、相応に村中の道が狭く、狭い道を機敏なコントロールで進んでいく様は中山寺のだんじり祭の見所です。
それではご覧ください。
宝塚市市杵島姫神社 中山寺地車 ◆地域詳細 宮入:市杵島姫神社 小屋所在地:神社に隣接 ◆地車詳細 形式:宝塚型 製作年:江戸末期? 購入年:不明 大工:不明 彫刻:不明
姿見
左が前方、右が後方
先程も述べましたが、数ある宝塚型の中でもひとまわり小さめのサイズです。
足回りが細く、勾欄から極端に幅広となる形状は宝塚型ならではです。
側面より
土呂幕は幕式で波濤の柄ですが、めくったままの状態が標準のようです。
斜め前より
斜め後より
破風
中央分割されておらず、分厚く立派な破風です。
桁隠しはつきません。
枡組
シンプルな大斗肘木の構造となっています。
鬼板
上から
大屋根前方:『龍虎』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『龍』
中山寺の地車と言えば、立派な龍虎の鬼板が印象的です。
なかなか見えにくいですが、大屋根後方の鬼板も良い表情をしています。
懸魚
大屋根前方:『?』
この日は幕をつけていたので、見えず。
小屋根:『鶴』
車板・枡合
大屋根前方
車板:『天女』
枡合:『龍』
小屋根後方
車板:『劉備玄徳 壇渓を渡る』
補修?かは分かりませんが、彫り替えられているようです。
小屋根後方
枡合:『天女』
右面大屋根側:『波濤に鯛・天女』
枡合に海に関連する題材は大変珍しいと思います。
右面小屋根側:『恵比寿』
大屋根の鯛に関連してでしょうか?全貌が見えませんので、よく分かりません。
左面大屋根側:『波濤に鯛』
左面小屋根側:『牡丹に唐獅子』
大屋根側とは異なり、よくある題材です。
木鼻
上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子・獏』
すみません、小屋根平側はどちらも上手く撮影できていません。
絵振板
絵振板:『麒麟』
脇障子
脇障子:『黄石公・張良』
お互いにそっぽを向いてしまっているので左右逆転しているかもしれません。
花戸口虹梁
花戸口虹梁:『雲海』
水引幕
水引幕:『鶴の丸紋』
見送り幕
見送り幕:『龍虎』
前方の鬼板に対応してか、題材は龍虎です。
かなり年代モノのようですが、大変迫力のある作品です。
見送り幕:『龍虎』
見送り幕:『龍虎』
勾欄合
前方
勾欄合:『波濤』
木の色が異なるので、彫り替えられているように見えます。
後方
勾欄合:『?』
右面大屋根側
勾欄合:『波濤・天女』
勾欄の地覆に彫刻が施されているのが一番の特徴です。
右面小屋根側
勾欄合:『波濤・天女』
左面大屋根側
勾欄合:『波濤・天女・兎』
左面小屋根側
勾欄合:『波濤・兎』
平側は所々に天女と兎が混じっています。
土呂幕
前方
土呂幕は幕式です。
安全柵が取り付けられています、宝塚型では珍しいかもしれません。
側面より
波濤の幕ですが、基本的にめくられています。
鳴物は大太鼓・小太鼓・鉦で構成されています。中山寺の鳴物は甲高い鉦の音と心地よい小太鼓の音が特徴的です。
台木
角台木になっており、彫刻はありません。
2枚ホゾですが、抜け止めは台木の内部で行っているようです。
金具
①破風中央:『唐草模様・鶴の丸紋』 金具はどれも新しいものが入っていました。
②破風傾斜部:『唐草模様』
③破風端:『唐草模様』
④垂木先:『鶴の丸紋』
⑤勾欄親柱:『唐草模様』
⑥肩背棒先:『中山』の文字。 先端にカバーが取り付けられています。
⑦台木先:『中山寺』の文字。 プレートが入っており、夜間は文字が文字が光るように細工されています。
いかがでしたでしょうか? 記録がないため少々謎が多い地車ですが、貴重な年代モノの地車でした。 しかし過去に大がかりな改修を受けていないため、各部の痛みが酷くなっているようで、現在修理に向けて尽力されているようです。 オリジナルの姿を見れるのはそれほど長くないかもしれません、見物はお早めに。 この地車が修理され、継続して祭礼が行われることを願っています。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。