東大阪市稲田八幡宮 稲田旭地車

皆さんこんにちは。
最近は今まで撮りためたものの中からご紹介していましたが、今回は最近撮影した地車をご紹介することにします。
稲田旭地車は平成9年に東大阪市本庄より地車を購入し、地車曳行がはじまりました。
様々な場所に手が加えられているものの、東大阪市で唯一の堺型地車です。

東大阪市稲田八幡宮 稲田旭地車

◆地域詳細
宮入:稲田八幡宮
小屋所在地:ファミリーマート東大阪稲田上町店を南東方向に行ったところ。
歴史:”稲田桃”で知られる稲田の地は、古くは新開池へ合流していた旧菱江川の両岸に営まれた集落で、『稲田村由来記』によれば、室町時代の中頃、東方に屋敷割と呼ばれる所があり、観音樋の西側に大家が18軒あったこと、誉田八幡宮を勧請して氏神としたことが記され、現在の八幡神社の沿革を知ることができます。八幡神社は、宇宮の町と呼ばれる所に鎮座し、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇の三神を祭神としています。
稲田は、南町・中町・稲田本町・北町・旭町の5町に分かれ、秋祭り(宵宮10月21日、本祭り22日)の宵宮には、各町内から伊勢音頭をうたいながら、長提灯の宮入が盛大に行われます。境内の一きわ高い神木”いちょうの木”は、樹齢約500年、樹高約35m、幹回り5mもある古木で、稲田村と八幡神社の古い歴史を伝える天然記念物として、昭和49年3月25日に、市の文化財に指定されています。
平成2年3月
東 大 阪 市
引用 稲田八幡宮鳥居横の掲示

◆地車詳細
形式:堺型
製造年:明治初期
改修年:?
購入年:平成9年
大工:【萬源】木村源平?
彫刻:【彫又】西岡又兵衛
改修大工:?
改修彫刻:?
歴史:松原市天美方面→東大阪市本庄→東大阪市稲田旭

参考) 歴史について
山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee
姿見

左が前方、右が後方。
破風や台木などを交換されていますが、原型は堺型です。 擬宝珠勾欄堺型かと思いきや、後方は板勾欄になっています。

側面より
勾欄親柱の位置から見て分かるように、勾欄合1つ分長さが縮められていることが分かります。 元より堺型は雛壇・懐がありませんから、それを設ける際に変更されたと思われます。
加えて土呂幕周辺の高さが縮められています。

斜め前より

斜め後より

屋型

前方は破風が取り替えられているので、後方の写真です。
恐らく萬源の屋根ではないかと思うのですが、どうでしょう。 小屋根だけ折屋根になっています。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』
元は彫又の獅子噛がついていたと思われますが、全て彫り換えられています。

懸魚

上から
大屋根前方:『鳳凰』
大屋根後方:『鷹』
小屋根:『猿に鷲』

どれも古い彫刻に間違いないのですが、上辺の形が合っていないことから察するに、元は現在とは異なる破風についていたと思われます。

車板・枡合・虹梁

大屋根前方です。 上から
車板:『鶴』
枡合:『猩々』
虹梁:『唐獅子・宝珠を掴む青龍』
金綱でよく見えませんが、新しい木で宝珠を掴む青龍の彫刻が取り付けられています。

大屋根後方です。
車板:『鶴』

小屋根です。
上から
車板:『猩々』
枡合:『猩々』

上下で猩々二連続です。

枡合・虹梁

右面 上から
大屋根枡合:『猩々』
大屋根虹梁:『唐獅子』
小屋根:『唐獅子』

左面 上から
大屋根枡合:『猩々』
大屋根虹梁:『唐獅子』
小屋根:『唐獅子』

大屋根側の枡合は猩々で統一されているようですね。

持送り

持送り:『松に猿』
恐らく元はこの位置ではなく、土呂幕前方にあったものと思われます。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『唐獅子』
大屋根前方妻側は唐獅子と漠の2段構成。 しかし一部は『唐獅子・唐獅子』になっていたりします。

柱巻き

左が右面、右が左面。
柱巻き:『昇龍・降龍』

前方通し柱のみ丸柱です。 水引幕に隠れて殆ど見えませんでしたが、柱巻きがあります。

間仕切り

間仕切り:『酒呑童子?茨木童子?』

車内の間仕切りに彫り込まれた作品が隠れていました。
酒呑童子が悪さをしに来ている場面か、茨木童子が腕を取り返した場面か?

大太鼓を積むため、左右がカットされていますが、扉式にして復活出来るようにしています。

脇障子

左が右面、右が左面。
脇障子:『武者』

勾欄の架木が通っていたであろう跡があります。 擬宝珠勾欄でこの位置に架木が通っていたとはあまり思えないので、板勾欄型の二重勾欄の跡でしょうか?

三枚板

正面:『坂田金時?』
立派な三枚板です。 鉞だけでは特定が難しいですが、坂田金時でしょうか?

右面:『武者』

左面:『武者』

摺出鼻

右面です。 摺出鼻:『梅に朱雀・千鳥』

左面です。 摺出鼻:『梅に朱雀・千鳥』
堺型の摺出鼻ではよく見る題材ですが、素晴らしい表現だと思います。 正面三枚板と並んで私の好きなところです。

旗台

旗台:『力神』

よく見る図柄の力神。

勾欄合

前方です。 勾欄合:『波濤に千鳥・武者』

一番左だけ千鳥です。

後方です。 勾欄合:『山水草木』

上が右面、下が左面。 勾欄合:『武者』

縁葛

前方です。 縁葛:『武者』

後方です。 縁葛:『武者』

側面です。 縁葛:『波濤』

前方・後方はオリジナルですが、側面は彫り換えられていると思われます。

持送り

左が左面、右が右面。 前方持送り:『山水草木・虎』
この場所の持送りにしては、カットされた跡があり、裏側に彫刻がないもの。 恐らく、元は前方土呂幕を構成する左右の部材ではないでしょうか?

上が右面、下が左面。 側面持送り:『虎・兎・猿』
一番先頭のものは木の色が異なります。裏面は竹などが彫刻されています。(松・竹・梅ではありませんでした)

左が左面、右が右面。 後方持送り:『虎・猿』

土呂幕

上から 前方:『竹に虎』 後方:『武者』
前方土呂幕、左右の切り欠きは閂の跡。
先ほど登場した前方持送りですが、この虎の彫刻の下、左右についていたと思われます。

下方に勾欄合の彫刻がありました。

右面です。 土呂幕:『武者』

左面です。 土呂幕:『武者』

一番後方の土呂幕上にのみ、波模様の部材が入っています。恐らく別の箇所にあったものです。

台木

上が右面、下が左面。 台木:『波濤に鯉』
台木は交換・彫り換えられています。

要所

①大屋根枡組
②小屋根枡組:平三斗、台輪には刻みあり。
③車内;大太鼓・鉦・小太鼓それぞれ1つずつで構成。
④脇障子の穴:架木が通っていた跡
⑤勾欄縮小部:勾欄合1つ分カットされています。
⑥前方土呂幕にある勾欄合:本来の部品は現在の勾欄合左端の千鳥とセットになっていた可能性があります。 余談までに萬源の擬宝珠勾欄堺型の妻側勾欄合は3枚になっていることが多いです。

金具

①屋根中央部:雲海の中に円
②屋根勾配部:昇龍・降龍
③屋根端:雲海
④垂木先:「旭」の文字
⑤柱:牡丹
⑥旗元:唐草模様
⑦勾欄親柱付近:縁葛端は唐獅子
⑧勾欄:縁板に龍の金具
⑨勾欄持ち:「旭」の文字
⑩肩背先:「旭」の文字
⑪台木先:「上町」の文字

如何でしたでしょうか?

改修されている点は多いですが、新調当時の大変素晴らしい彫刻を持つ地車でした。
東大阪市では珍しい堺型、今後も稲田の地で活躍し続けてくれることでしょう。

ご閲覧有難うございました。

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