柏原市黒田神社 大正西地車

皆さんこんにちは。

今回ご紹介しますのは大正西地車です。平成24年に修理入魂式を行ったので、その際に見物に行かれた方が多いのでは無いでしょうか?
記事にする際に調べてみたのですが、柏原市は意外と板勾欄型の所有率が高く、市内約15中5台(3分の1)が板勾欄型です。
割合だけで言えば、河内長野市…約24台中9台に匹敵するレベルの所有率ですね。

大正西の祭礼形態は羽曳野市の雰囲気に近いようで、お囃子は天神囃子の道中・しゃんぎりの使い分け。
しかし、見せ場ではぶんまわし・しゃくりは行わず、屋根の上で独特の舞いをしながら前進後退をするようです。

写真は全て2014年に撮影したものです。
それではご覧ください。

柏原市黒田神社 大正西地車

◆地域詳細
宮入:黒田神社
小屋所在地:大正東と共有
歴史:旧柏原村(本郷・大正・今町・古町)にあたり、旧奈良街道(国道25号)沿いに栄えた地域。

◆地車詳細
形式:板勾欄出人形型
製作年:明治時代
購入年:平成21年
改修年:平成24年
大工:住吉大佐?
彫刻:彫又一門
改修大工:大下工務店
改修彫刻:辰美工芸
歴史:?→柏原市大県→大正西

姿見

左が前方、右が後方

板勾欄型の中では中くらいのサイズ感です。
角型の肩背棒と台木が珍しいですね。

側面より

斜め前より

飾り付けは破風に提灯がつき、古市方面とよく似ています。

破風

板勾欄型では一般的な中央で二分された勾配の緩やかな形状。
オリジナルです。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

完全に類似する表情の地車が他にないですが、小顔で西岡弥三郎師の作品の面影があるように見えます。

懸魚

大屋根前方:『鳳凰』
小屋根:『鳳凰』

改修前は飛龍の顔になっていましたが、鳳凰に戻されました。
前後で阿吽にはなっていないようです。

車板・枡合・虹梁

大屋根前方
車板:『雲海』
枡合:『飛龍』
虹梁:『牡丹に唐獅子』

小屋根
車板:『雲海』
枡合:『唐獅子』

車板に神額等はありませんでした。

枡合・虹梁

右面大屋根側
枡合:『飛龍』
虹梁:『松に鷹』

右面小屋根側
枡合:『唐獅子』

この地車のオリジナルの彫刻にはガラス目が使われていないのが特徴です。

左面大屋根側
枡合:『飛龍』
虹梁:『松に鷹』

左面小屋根側
枡合:『唐獅子』

この地車は大県時代に枡組・枡合を撤去して背丈を低くする改造が行われていましたが、平成24年の改修で復元され、彫刻は辰美工芸の作品が取り付けられました。

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全部で8体あります。
綺麗に阿吽並びとなっており、顔つきもやや丁寧に作られています。

柱巻き・板勾欄

板勾欄型の顔となる部分をご紹介。
以下、詳しく見ていきます。

柱巻き

柱巻き:『龍・虎』

人物はなく、左右で龍虎となっています。

板勾欄

前方:『武者』

両端は板勾欄自体に人物が彫刻され、その合間に人形が差し込まれています。
人形同士が上手く組み合っていないのを見る限り、元の配置とは異なるようです。

右面:『武者』

木の色が新しく、この部分も作り変えられたようです。

左面:『加藤清正』

烏帽子兜を見る限り加藤清正かと思います。
本来は前方に差して虎退治としていた可能性が高いと思います。

花戸口虹梁

花戸口虹梁:『唐獅子』

1匹の獅子が大きく彫刻されています。
改修前は左右の柱に沿ってもう少し縦長に伸びていましたが、途中でカットされています。

脇障子人形

脇障子人形:『猩々・?』

片方は猩々のようですが、もう片方は何でしょうか。
このパーツがつくということは、やはり住吉方面の地車で良いと思います。

脇障子

脇障子:『武者』

改修前は板に模様がくり抜かれたものでしたが、平成24年の改修で彫刻が取り付けられました。

三枚板

正面:『漢高祖龍退治』

板勾欄型では定番の題材です。
元は左の龍が欠損していたそうですが、平成24年の改修で復元されました。

右面:『【水滸伝】黒旋風李逵』

三枚板が全て中国の題材から来ているとしたら、やはりこの人物か。

左面:『ハンカイの門破り』

状態が良く、表情もピカイチで良い作品ですね。

角障子

角障子:『武者』

他に書くスペースが無いのでここで記載しますが、この地車は摺出鼻・旗台がつきません。
元はあったはずですが、何時かの時点で取り外されてしまったのでしょう。

持送り

左が左面、右が右面。
持送り:『牡丹』

山水草木や動物ではなく牡丹、珍しいですね。

土呂幕

前方:『波濤』
後方:『武者』

前方は扉式になっておらず、どこか他の部材であったものを利用しているように感じます。後方妻台でしょうか?
後方土呂幕には下勾欄が取り付けられており、他では無い仕様です。

右面:『武者』

左面:『武者』

下勾欄・台木

右面下勾欄:『波濤に兎』

左面下勾欄:『波濤に兎』

台木に彫刻はありません。

要所

①大屋根枡組:二段一手先です。
②小屋根枡組:桁と肘木がかなり短い長さで垂木に達しています。
③鳴物:鉦・小太鼓・大太鼓で構成されています。大太鼓は縦積みです。
④貫腕:渦の末端が下を向いており、住吉大佐製の可能性が高いです。
⑤引綱環:中央に1つついています。
⑥芯金:猫木の中心を貫く、昔ながらのスタイルです。

金具

①破風中央:『唐草模様』
②垂木先:『右三つ巴紋』
③台輪先:『唐草模様』
④柱:『唐草模様』
⑤前方縁葛:『唐草模様』
⑥後方縁葛:前方と後方ではついている金具が異なります。こちらは古そうです。
⑦肩背棒先:白ベースに金メッキで『西』の文字。
⑧台木先:白ベースに金メッキで『大正西』の文字。

いかがでしたでしょうか。

大正西の祭礼は夏・秋の両方行われますが、やはり夏の柏原駅前でのパレードが紙吹雪が綺麗で見ごたえがあります。
数少ない板勾欄型ですが、比較的気軽に見に行きやすい地域で活躍していますので、見物がまだの方は是非。

当日お声がけいただきました大正西の皆様ありがとうございました。

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