羽曳野市白鳥神社 古市南町地車

皆さんこんにちは。

先日、古市の試験曳きを見に行った際に、じっくりと南町地車を撮影させて頂きまして…
「宣伝しといてやぁ~」と、有難いお声を頂きましたので、気合を入れて沢山の画像を用意させて頂きました。

折衷型の記事を書くのは久しぶりで…編集していて思うのは「とにかく彫刻が多い」ということ。
南町は見送り・縁葛・土呂幕の彫刻が全て信長に関する題材で統一されているのが特徴です。

古市の地車はやりまわしを行うところがありますが、南町もその一台で、見所の一つとなっています。

それではご覧ください。

羽曳野市白鳥神社 古市南町(みなみちょう)地車

◆地域詳細
宮入:白鳥神社
小屋所在地:蓑の辻を南方へ、石川のすぐ北側。

◆地車詳細
形式:折衷型(元・古市型)
製作年:慶応年間
大工:松永某
彫刻:【彫又】
改修年:平成19年
改修大工:大下工務店
改修彫刻:【木下彫刻工芸】

◆歴代古市南町地車
・現地車:初代か? 

参考) 地車製造年・大工・改修年について
 山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/ 

姿見

左が前方、右が後方。

改修前から元々大きな地車でしたので、改修後の姿も大きく出来ています。
古市はもちろん、南河内界隈では珍しい角形の肩背棒が特徴。

真横からは撮影できませんでしたので、斜め前から。

破風

大屋根・小屋根共に切妻。
大下工務店の折衷型は大屋根切妻・小屋根入母屋が多いので、珍しいのではないでしょうか。

広く、勾配が効いており、蓑甲の目が細かいように感じます。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

3面共に獅子噛です。
改修で彫り換えられています。後述しますが、元の獅子噛は旗台として使われています。
上方向に伸びた鬣・目の形状など、オリジナルを継承しようとしているように見えました。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『阿吽の鷲』

小屋根
懸魚:『鷲』
桁隠し:『阿吽の鶴』

懸魚は古風に動物の題材で構成されています。

隅出・横槌

上が大屋根前方、下が小屋根後方。
隅出:『唐獅子』
妻側横槌:『龍』
平側横槌:『牡丹』

車板

上から
大屋根前方:『飛龍』
大屋根後方:『?』
小屋根:『飛龍』

数少ない改修前の彫刻がこの場所にあります。
大屋根後方も何かありそうな雰囲気ですが、よく見えません。

枡合

上から
大屋根前方:『天ノ岩戸』
小屋根:『武内宿禰 盟神探湯』

大屋根前方は定番の縁起の良い題材で。

右面大屋根側:『神武東征』
右面小屋根側:『神功皇后 応神天皇平産』

左面大屋根側:『八岐大蛇退治』
左面小屋根側:『日本武尊 野火の難』

日本武尊は白鳥神社の御祀神でもありますね。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『唐獅子』

様々なものを手に取る唐獅子で、バリエーションに富みます。

虹梁

上から
正面:『藤吉郎 信長に初見参』
右面:『朱雀』
左面:『朱雀』

勾欄合

上から
前方・右面・左面
勾欄合:『千鳥』

脇障子(前方)

左が右面、右が左面。

脇障子(後方)

左が左面、右が右面。
脇障子:『河内高屋攻め』

左面に豊臣の紋が見えます。

見送り・角障子

見送り:『河内高屋攻め』

高屋城はかつて古市にあった城。地元ならではの題材です。

見送り:『河内高屋攻め』

明智光秀かな?

見送り:『河内高屋攻め』

見送り内の人形です。

大脇:『河内高屋攻め』

柴田勝家・織田信長。

見送り・大脇(右面)

見送り:『河内高屋攻め』

大脇:『河内高屋攻め』

見送り・大脇(左面)

見送り:『河内高屋攻め』

大脇:『河内高屋攻め』

竹の節

左が左面、右が右面。
竹の節:『唐獅子』

摺出鼻・旗台

摺出鼻:『牡丹に唐獅子』
旗台:『獅子噛』

改修前の獅子噛がこの場所に移設されています。
彫又の彫刻ですね。

縁葛

前方:『信長 戦勝祈願』

前方:『信長 戦勝祈願』

後方:『光秀 信長公を恨む』

後方:『光秀 信長公を恨む』

信長が光秀を激しく叱責する様子が彫刻されています。

右面:『美濃の国合戦』

右面:『美濃の国合戦』

左面:『高松城水攻め』

左面:『高松城水攻め』

清水宗次が切腹する場面。

土呂幕

前方:『桶狭間の合戦』

前方:『桶狭間の合戦』

今川義元(右下)vs服部小平太(左下)

松良

右面:『信長 敦盛ノ舞』
左面:『義元 酒宴ノ場』

前方土呂幕に関係する題材で、出陣前の様子が描かれています。

土呂幕

後方:『本能寺の変』

後方:『本能寺の変』

信長がかなり前まで出てきて応戦しています。

松良

左が左面、右が右面。
松良:『本能寺の変』

後方は松良と土呂幕が一体となった作品です。

土呂幕

右面大屋根側:『三方ヶ原の合戦』
右面小屋根側:『石山本願寺攻め』
水板:『波濤に千鳥』

右面大屋根側:『三方ヶ原の合戦』

右が武田側、左が徳川側。
本田忠勝(左上)がいます。

右面小屋根側:『石山本願寺攻め』

小蜜茶坊と木村又蔵の一騎打ち。

左面大屋根側:『姉川の合戦』
左面小屋根側:『長篠の合戦』
水板:『波濤に千鳥』

左面大屋根側:『姉川の合戦』

本田忠勝(右上)

左面小屋根側:『長篠の合戦』

長篠といえば火縄銃での攻撃。仰天して転げまわる武田軍側。

脇障子

左が左面、右が右面

側面土呂幕に関連する武者が彫刻されています。

台木

上が右面、下が左面
台木:『波濤に玄武』

金具

①破風中央:葺地に唐草模様、破風には雲海と宝珠。
②破風傾斜部:昇龍。
③破風端:唐草模様。
④垂木先:銀で南の文字。
⑤台輪先:南の文字。
⑥兜桁:銀で南の文字。
⑦縁葛端:縁隅木があります。牡丹に唐獅子。
⑧肩背先:金で南の文字。
⑨土呂幕上:龍。
⑩安全柵:引綱環根元に花菱紋、安全柵に五瓜に唐花紋と南の文字。

いかがでしたでしょうか?

総50枚の写真でなんとかまとめてご紹介させて頂きました。
初めての試みですが、見送り・縁葛・土呂幕など、(全員を取り上げることはできませんでしたが)それぞれの人形をアップで撮影した写真も掲載してみましたので、是非じっくり見て頂ければと思います。

ですが…やはり現物を!古市の祭礼の日に是非ご覧になってみてください。
木下彫刻工芸の作品を存分に楽しめる豪華な一台です。

南町の皆様、地車を見せて頂き有難うございました。 

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です