河内長野市長野神社 長野地車

皆さんこんにちは。

つい先日、当サイトが表示された回数が100万回を突破したとの通知が来ました。毎度ご訪問ありがとうございます。

今回は来週にお披露目曳行を控えました、河内長野市長野地車を記事にしたいと思います。

長野は駅前の長野神社に宮入する唯一の地車で、貴重な住吉大佐の作品です。
彫刻の良さもさることながら、河内長野名物のぶんまわし(後方2輪をウィリーさせたままその場で高速回転させる)が大変上手く、何といっても回し続ける時間の持久力が長いのが長野地車の特徴のように思います。
シークレットの鳴物も種類豊富で、夜間曳行時にはこれまた点灯パターンが豊富なリレー細工が施された提灯をつけていますので、非常に存在感を感じる一台です。

それではご覧ください。

河内長野市長野神社 長野地車

◆地域詳細
宮入:長野神社
小屋所在地:神社境内
歴史:石川と天見川の合流点に位置する。古くは平安時代の「山槐記」に長野の記述がある。(江戸~明治22年)錦部郡長野村→(明治22年~)長野村長野→(明治43年~)長野町長野→(昭和29年~)河内長野市長野町となる。
長野神社は江戸時代中期頃まで木屋堂宮・牛頭天王宮と言われ、明治元年に長野神社へ改称される。御祭神は素戔嗚尊・事代主命・菅原道真で、長野恵比須としても知られている。

◆地車詳細
形式:擬宝珠勾欄住吉型
製作年:明治中期 (銘板「住吉郡住吉村」より明治29年4月までに製作されたことは確実)
大工:住吉大佐
彫刻:小松一門

◆歴代長野地車
・先代(初代):1830年(文政13年)の記録に舟だんじりと記載されている。
・現地車(2代目):住吉型。明治中期に住吉大佐より購入。

参考)
地域の歴史について
角川書店 『角川日本地名大辞典 27 大阪府』
長野神社境内の掲示

歴代長野地車について
山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/

姿見

左が前方、右が後方

2020年に改修を受ける前の状態です。
平成初期に植山工務店で改修を受け、オリジナルの彫刻を残しつつ台木・柱・破風が交換されています。

側面より

河内長野の地車ならではでの前方に長い肩背棒が取り付きます。
擬宝珠は6つ、下勾欄は地覆を省略して高さを下げ、土呂幕が見やすいように手が加えられています。

斜め前より

斜め後より

旗はオリジナルの旗台の穴を使用せず、金物で調整して横方向に大きく開くように取り付けられています。
河内長野名物ぶんまわしは常時後方が持ち上がった状態になり、その際に旗がしっかりと開いていた方が綺麗に見えるので、そうしてあるのだろうと思います。

破風

植山工務店製の破風です。
角ばった形状で、端部はテリが効いています。

枡組

二段一手先です。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

平成初期の改修で、大屋根前方は醒ヶ井彫刻のものに交換されていました。
河内長野は意外と醒ヶ井彫刻の獅子噛が多い地域で、千代田石坂・野作・市町東・市町西・長野の5台が少なくとも該当するかと。
大屋根前方は2020年の改修で再び交換され、彫陽の作品になったようです。

個人的にはやはり小屋根の作品がピカイチかと思います。
着色されていた顔はさぞかし凄いインパクトを与えるものだったのだろうと思います。

瓜二つの顔を持つ地車として神戸市東灘区西御影地車があります。
恐らく同時期に作られたのでしょう。

懸魚・桁隠し

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『松に猿』

小屋根
懸魚:『五條大橋の出会い』
桁隠し:『麒麟』

懸魚は牛若丸が居なくなっています、改修で修復されたでしょうか。

車板・虹梁

大屋根前方
車板:『青龍』
虹梁:『牡丹に唐獅子』

小屋根:『飛龍退治』

枡合・虹梁

右面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『阿の龍』

右面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』

左面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『阿の龍』

左面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全身彫刻の唐獅子が全部で6体います。
親子になっていたり、珠を持っていたり、バリエーション豊かです。

柱:『牡丹に唐獅子』

オリジナルではありませんが、住吉型ならではの彫り抜かれた柱が復元されています。

車内枡合・虹梁

車内枡合:『牡丹に唐獅子』
車内虹梁:『牡丹に唐獅子』

脇障子

脇障子:『秀吉本陣佐久間の乱入』

三枚板

正面:『源頼光 酒呑童子 血戦』

右面:『渡辺綱 羅生門禁札立て』

左面:『伊賀寿太郎』

三枚板はどれも大江山の鬼退治に関連する題材でまとめられています。
大江山の鬼退治の彫刻を持つ住吉型と言えば、擬宝珠勾欄型は長野地車、板勾欄型は宝塚市小林地車が挙げられます。
見比べてみると面白いと思います。

角障子

角障子:『武者』

角障子:『大江山の鬼退治』

摺出鼻

摺出鼻:『松に猿』

摺出鼻:『松に猿』

旗台

旗台:『虎』

3体もの虎が居ます。

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『武者』
縁葛:『源平合戦』

後方
勾欄合:『武者』
縁葛:『源平合戦』

後方に愛馬の三日月を背負う畠山重忠の姿が彫刻されていることから、鵯越の逆落とし、他の面も源平合戦だろうと判断しています。

右面
勾欄合:『武者』
縁葛:『源平合戦』

左面
勾欄合:『武者』
縁葛:『源平合戦』

腕木

腕木:『阿吽の唐獅子』

持送り

持送り:『唐子遊び』

土呂幕

前方:『竹』

元は山水草木だったのだろうと思いますが、彫り替えられています。

後方:『武者』

右面:『武者』

左面:『武者』

下勾欄

右面:『波濤に兎』

左面:『波濤に兎』

台木

右面:『波濤』

左面:『波濤』

金具

①破風中央:『雲海に宝珠』
②破風傾斜部・端部:『昇龍・唐草模様』
③垂木先:『菊紋』
④脇障子兜桁:『梅鉢紋』 吊下町名旗は牛頭天王にちなんだ五瓜に唐花紋ですが、脇障子は菅原道真にちなんだ梅鉢紋です。
⑤縁葛:『唐獅子』
⑥肩背棒先:『長・野』の文字。
⑦下勾欄親柱

元は『細工人 住吉郡住吉村 大佐』と書かれていましたが、何故かこの書き方で上書きされたようで、オリジナルとは異なります。
川崎仙之助の名前が直で書かれた銘板はありません。

いかがでしたでしょうか。

やはり三枚板の大江山の鬼退治の彫刻は住吉大佐の地車でも数少ない作品ですので、是非とも見ておきたいところですね。
個人的にオススメの小屋根獅子噛も是非!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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