河内長野市赤坂上之山神社 片添地車

 

皆さんこんにちは。

今回は本日修理入魂式を迎えた片添地車をご紹介したいと思います。

当ホームページでは、なるべく修理入魂式を迎える地車については改修前との比較用に、入魂式よりも少し前の日に記事を出しておくようにしているのですが(そうでもしないと私の中で書くきっかけが作れないと言う面も多少あります)実は今日修理入魂式であることを知りませんでしたので、いつもより遅れた投稿になりました。
そんな状態ですので、写真は全て2017年に撮影したものを使用していることを先におことわりしておきます。

今回の修理では台木の一部を新調したとのことですので、それ以外の部分はこの記事でも現状に沿った内容になっているかと思います。

それではご覧ください。

河内長野市赤坂上之山神社 片添地車

◆地域詳細
宮入:赤坂上之山神社
小屋所在地:東片添集会所南方すぐ
歴史:石見川と天見川の合流点付近の谷あいに位置する。天保11年には絞油屋があり、滝畑村から菜種を買い付けている。河内国錦部郡片添(江戸期~明治22年)→三日市村大字片添(明治22年~昭和29年)→河内長野市片添町(昭和29年~)となる。

◆地車詳細
形式:折衷型
製造年:1987年(昭和62年)
購入年:2009年(平成21年)
大工:【池内工務店】池内福治郎
彫刻:中山慶春
歴史:和泉市上代町→河内長野市片添

◆歴代片添地車
・先代(初代):板勾欄出人形型、大正時代に橋本市東家南出より購入。現地車購入に伴い橋本市柏原へ。
・現地車(2代目):折衷型、和泉市上代町より購入。

参考)
地域の歴史について
角川書店 『角川日本地名大辞典 27 大阪府』

姿見

左が前方、右が後方。

毎年のように折衷型が誕生していた昭和末期の池内工務店製作の地車です。
新調されてから35年経ちましたが、肩背棒に変更があった程度でオリジナルから大きく姿は変えていません。

上代町時代は前方縁葛の金具で塞がれた箇所に閂タイプのものが取り付けられていました。

側面より

控え目の枡組・平面タイプの土呂幕など、折衷型の中でも比較的住吉型の要素が強い構造をしています。
上代町時代もそうですが、片添に来てからもやりまわしを行っているので、折衷型である利点が活用されています。
梃子掛けは平成21年の修理の少し後に取り付けられたようです。

斜め前より

兄弟地車がおり、堺市桝矢地車がそれにあたります。
比較してみると面白いと思います。

斜め後より

訪れたタイミングでは偶然後旗を外していました。
大きな中山慶春師の獅子噛2丁が堪りません。

破風

池内工務店の折衷型の標準仕様、切妻型の破風です。

枡組

段数は控え目です。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

とにかく大きく肉厚な中山慶春師の獅子噛はインパクト抜群です。
小まめに手入れされているからか木の汚れも少なく、目も綺麗で表情が良いので、昭和61~63年頃の作品の中では片添町のものが個人的に一番お気に入りです。
睨みつけてはいますが、どことなく犬っぽい愛嬌を感じるのは私だけでしょうか。いずれにしても親しみの持てる獅子噛です。

懸魚・桁隠し

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『鶴』

大屋根後方:『雲海』

小屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『鶴』

車板・枡合・虹梁

大屋根前方
車板:『素戔嗚尊八岐大蛇退治』
虹梁:『波濤』

車板・枡合一体の大きな彫刻で、遠くから見ても大変目立つ作品です。

小屋根
車板:『加藤清正虎退治』
虹梁:『牡丹に鶏』

右面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『波濤』

台輪が上方へ弧を描くようになっているのがオシャレポイントです。

右面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『牡丹』

左面大屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『牡丹』

左面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『牡丹』

屋根まわりは牡丹に唐獅子で統一です。
今の流行りから見ると古い意匠かもしれませんが、これほど豊かな世界観の唐獅子を彫れる人はなかなかいないと思います。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『阿吽の唐獅子』

変則的なことはせず、半身彫刻で手には何も持たせていない標準的なものです。
よく見ると吽は1体しか居ないのですね。

柱巻き

まずは全景から。

ゴツゴツ肉厚な柱巻きの龍も中山慶春師の作品の魅力です。これもなかなかこんな作品を作り出せる人はいないと思います。
これもひと昔前の流行なので、今後このような作品が生まれるかは何とも言えないところですね。

泉州方面では笛の奏者が彫刻でケガをしたり、鳴り物を柱に固定出来ないことから、後の時代に取り外されているものもありますので、どうか大切に残してほしいものです。

間仕切り

間仕切り:『雲海に鶴』

後方は見送りなので仕切り板が入りますが、火燈窓形状を残し、古き堺型・住吉型の意匠を引き継いでいます。

脇障子

脇障子:『大阪夏の陣』

見送り

見送り:『大阪夏の陣』
縁葛:『難波戦記』

背景には燃える大阪城と日章。

正面より

人形の数が豊富です。右下の作品は特に中山慶春師らしい作品の表情をしており、個人的に好きです。

正面より

奥側の人形です。

右面より

3体の人形がいます。

左面より

左側も3体です。

大脇

大脇(前方):『大阪夏の陣』

大脇(後方):『大阪夏の陣』

大脇竹の節

大脇竹の節:『唐獅子』

摺出鼻

摺出鼻:『谷越獅子・牡丹に唐獅子』

内側外側共に肉厚な唐獅子が2体ずつ居ます。

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『牡丹に唐獅子』
縁葛:『難波戦記』

右面大屋根側
勾欄合:『牡丹に唐獅子』
縁葛:『難波戦記』

右面小屋根側
縁葛:『難波戦記』

左面大屋根側
勾欄合:『牡丹に唐獅子』

左面
縁葛:『難波戦記』

雛壇

元々は勾欄の内側に人が立つ仕様でしたので、相応の乗車スペースとペダルの配置になっています。
片添では勾欄の前方に人が立てるように雛壇が延長され、元々の乗車スペースは塞がれています。

持送り

持送り(前方):『雲海』

持送り(後方):『雲海』

貫腕

貫腕:『松竹梅』

今回記事を書くにあたり感動した部分です。古い堺型・板勾欄型に見られる意匠で、今となっては失われたものです。

兄弟地車の桝矢地車は土呂幕まわりを改修しており、今はこのような仕様になっていないので、片添地車がこうなっているとは思いもしませんでした。

土呂幕

前方:『高砂』

後方:『西王母・東方朔』

前方・後方は池内工務店×中山慶春師コンビで誕生した折衷型には、お決まりでこの題材が取り入れられていることが多いです。
どちらも長寿を表すめでたい題材です。

右面大屋根側:『牡丹に唐獅子』

右面小屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面大屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面小屋根側:『牡丹に唐獅子』

下勾欄

右面:『牡丹に唐獅子』

左面:『牡丹に唐獅子』

台木

台木:『波濤に龍』

梃子掛けで見えにくくなっていますが龍がいます。

金具

①破風中央:『唐草模様』
②破風傾斜部(大屋根):『宝珠を掴む青龍』
③破風傾斜部(小屋根):『青龍』 大屋根・小屋根で宝珠の有無の違いがあります。
④破風端部:『唐草模様』
⑤垂木先:『片』の文字。
⑥台輪先:『左三つ巴紋』
⑦縁葛:『花角紋』
⑧兜桁先:『片添』の文字。
⑨肩背棒先:『片添町』の文字。

いかがでしたでしょうか。

中山慶春師の作品が好きな私としては記事にするより他はありませんでした。
三日市地区は河内長野市を含め南河内の中では珍しくやりまわしが盛んな地域ですので、ぶんまわしとやりまわしの両方をこなせるこの地車は今の三日市地区の祭礼形態に大変適した地車ではないでしょうか。
今後もこの地で末永く活躍して欲しいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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