皆さんこんにちは。
久々の佐原型山車の記事となりますが、今回は個人的に好きな下宿区の幣台をご紹介したいと思います。
下宿区は新宿、諏訪神社の例祭で曳き出される1台で、源頼義の大人形を飾り物としている地区です。
つい先日は香取神宮に特別曳き回しが行われ、前九年の役の道中で訪れて以来972年ぶりに源頼義が香取神宮を訪れた、とのことで大変な盛り上がりを見せていました。
また2022年には兜の修復も行われており、大変素晴らしい仕上がりとなっています。
それではご覧ください。
香取市佐原 諏訪神社 下宿区幣台
◆幣台詳細
①躯体
形式:佐原型
新調年:1875年(明治8年)
大工:不明
②彫刻
彫刻製作年:1875年(明治8年)
彫刻師:石川三之介・後藤源兵衛・左利重吉・後藤桂林
③飾り物
題材:源頼義
飾り物製作年:1899年(明治32年)
人形師:古川長延
④額
文字:誠意(せいい)
意味:正直に熱心に事にあたる心のこと
額製作年:1882年(明治15年)
書家:柳田正斉(儒学者)
◆下座連
分内野下座連
参考)
香取市ホームページ 山車の構造
https://www.city.katori.lg.jp/smph/sightseeing/matsuri/dashi/dashi_details.html
姿見
前方より
年季を経た木がとても良い味わいを出しています。
兜の輝きが見事な大人形とは対照的に、落ち着いた色合いの天幕が派手すぎず厳かな雰囲気を醸し出しています。
斜め前より
斜め後より
大天井
大天井まわりの金具は控え目ですが、ゴテゴテせず、あっさりとしつつも味わい深い感じがとても好きです。
飾り物
飾り物:『源頼義』
前九年の戦いで水に飢えた際に、岩を弓で突いて水を得た場面が表現されています。
頼義の大人形で注目すべきは何と言っても大きく立派な兜ですが、鹿児島県にある甲冑工房丸武が手掛けられています。
別角度から。
目を合わせようとすると結構近くに寄らないといけません。
額
こちらは儒学者 柳田正斉の手によるものです。
木鼻
木鼻と呼ぶのが正しいかは分かりませんが、額の左右には谷越獅子が彫刻されています。
前方全景
まずは全景から。
天井・欄間
大天井下に彫刻はありません。
前方欄間
前方欄間:『朽木隠れ』
右下に隠れている武者が居ることからこの題材だと判別出来ます。
玉簾
玉簾:『牡丹に唐獅子』
金物で牡丹に唐獅子が表現されています。
前方方立
前方方立:『坂田金時』
熊に乗る様や岩を投げる様を見る限り、坂田金時のようです。
蕨手
蕨手:『?』
宇治橋の戦いかと思いましたが、違いそうな気がします。
後方全景
後方全景です。
後方方立
彫刻ではなく、簾がかけられています。
平側全景
方立と下高欄は結構木の色が異なりますので、別の時代に作られたと見て良いのでしょうかね。
平側欄間
彫刻ではなく、簾がかけられています。
右面方立
右面方立:『源頼政鵺退治・熊谷陣屋』
前側2枚と後ろ側2枚で別々の題材が表現されています。
左面方立
左面方立:『?・曽我夜討?』
左面はあまり自信がありません。前方側は義経っぽい気もしますが、題材が分かりません。
下高欄
後方:『大胡小橋太 鞆六郎を討つ?』
右面:『義経八艘跳び』
左面:『宇治川の先陣争い』
高欄は比較的有名な場面が彫刻されており、見やすいですね。
擬宝珠
擬宝珠には『下』の意匠がありました。
前方腰周り全景
腰周りは全面のみ彫刻が施されています。
前方胴羽目
前方胴羽目:『那須与一 扇の的』
扇をスパッと打ち抜いた瞬間が表現されています。
右面腰周り全景
平側は彫刻はありません。
いかがでしたでしょうか。
悔しながら題材が分からないものも少しありましたが、判明次第追記したいと思います。
幣台本体のことばかり触れましたが、私が下宿区を好きな理由として、乗演されている分内野下座連のお囃子が大変好きなことも理由の一つであります。
オリジナルの湧水節も勿論好きですし、何より奏者の皆さんが合いの手の声をしっかりと発しながら演奏されているところが好きで、いつ聴いても格好良いなぁと思っています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。