富田林市錦織神社 加太地車(先代)

※この地車は2021年8月をもって個人所有となりました。
画像は全て加太が所有していた時代に撮影したものです。

皆さんこんにちは。
暫く私の好きな板勾欄型の記事を書いていませんでしたが、久しぶりに書いてみようと思います。

今回ご紹介しますのは富田林市の加太地車です。
和泉市葛の葉町先代で、やりまわし仕様のために色々と改修されている点が多いですが、まだオリジナルの要素がいくつか残されており、それらを見つけていくのがとても楽しい地車です。

また、現在はどのようになっているかは不明ですが、この地車からは堺市小坂の大工、堀内市松の銘が見つかっているそうで、貴重な生き証人であることは間違いないでしょう。
この地車が持つ特徴を他にも有する地車が存在しているので、この記事内で少し触れつつ、また別の機会に詳しく記事にまとめていきたいと思います。

富田林市加太地車

◆地域詳細
宮入:錦織神社
小屋所在地:久野喜台小学校北西部、月極駐車場敷地内

◆地車詳細
形式:板勾欄出人形堺型
製造年:明治5~6年
購入年:平成11年
大工:堀内市松
彫刻:彫又一門?
歴史:堺市南野田→和泉市葛の葉町→富田林市加太(2021年まで)→個人所有

参考)製造年・歴史について
山車・だんじり悉皆調査  http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/

姿見

左が前方、右が後方。

かなり台幅が広いです。
葛の葉町時代の昭和末期~平成初期にかけて改修を受けており、台木と破風が交換されています。施工は池内工務店でしょうか?
また、葛の葉町と同地区である信太・幸地区の宮本町(現・堺市高蔵寺)も同時期によく似た改修を受けており、台木の彫刻・屋根の形状が瓜二つです。

側面より

縁葛・板勾欄は加太時代に改修されており、前方に少し長くなっています。
板勾欄型は後年の改修で擬宝珠勾欄型へと改造されがちなだけに、個性を尊重した良い改修だと思います。

破風

大工方が屋根で踊りやすいように平らで幅広い形状。

枡組・台輪

架木:『獏』
隅行肘木:『唐獅子』
台輪:『雲海』

特徴その1、隅行肘木の彫刻です。
隅行肘木に彫刻が施されている板勾欄出人形型地車はそう多くはなく、特徴のある個所です。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『唐獅子』
小屋根:『獅子噛』

獅子噛はかなり独特な表情をしており、他に類似するものがありません。

懸魚

上から
大屋根前方:『鳳凰』
大屋根後方:『松』
小屋根:『猿に鷲』

題材は戦記モノではなく、古風な神獣など。

車板・枡合・虹梁

大屋根前方
車板:『宝珠を掴む青龍』
枡合:『?』
虹梁:『富士の巻狩り』

よく神額がかかっている位置に大きな青龍の彫刻があります。
時々見かける車板を上から移植したような様子でもなく、独特の仕様です。

大屋根後方
枡合:『牡丹に唐獅子』

小屋根
車板:『猩々』
枡合:『牡丹に唐獅子』

枡合・虹梁

右面です。
上から
大屋根枡合:『牡丹に唐獅子』
大屋根虹梁:『曽我五郎 朝比奈三郎 草摺引』
小屋根枡合:『唐獅子』

左面です。
上から
大屋根枡合:『牡丹に唐獅子』
大屋根虹梁:『夜討曽我』
小屋根枡合:『牡丹に唐獅子』

特徴その2、大屋根の虹梁は二重虹梁となっており、下段の虹梁は高さ方向の寸法が長いです。

木鼻

上が右面・下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全部で10体あります。

天蓋

天蓋:『龍』

特徴その3、天蓋に彫刻がある板勾欄型もそう多くは存在しません。

柱巻き

柱巻き:『渡辺綱 金札立て』

右の人形の顔が武者になっていますが、身体を見ると鬼であることが分かります。
同じ題材の柱巻きを持つ地車として大阪市西淀川区の姫嶋(大)地車があります。

間仕切り

間仕切り:『鶴・高砂』

脇障子

脇障子:『桜井の別れ』

特徴その4、脇障子が板勾欄をまたぐように取り付けられ、上辺に舞台・兜桁等の装飾がありません。

三枚板

正面:『五條大橋の出会い』

三枚板正面を堂々と使ってこの題材を彫刻している地車は他には無いのではないでしょうか。
牛若丸の顔が欠損してしまっているのは残念ですが、是非網なしで見てみたい彫刻です。

右面:『鷺池平九郎 大蛇退治』

左面:『武内宿彌』

刀を持っていますが、恐らく元は宝珠を持っていたかと。
この題材を見ると大阪歴史博物館の安立町七丁目地車の人形を思い出します。

角障子

角障子:『武者』

摺出鼻

摺山鼻:『牡丹に唐獅子』

旗台

旗台:『力神』

板勾欄・縁葛

前方

後方

千成瓢箪が見えます。賤ヶ岳の合戦でしょうか。

右面前方

右面後方

左面前方

九曜紋が見えます。伊達政宗?

左面後方

改修前の縁葛

小屋に保管されていました。

持送り

持送り:『竹に虎』

土呂幕

上から
前方:『竹に虎』
後方:『源平合戦』

前方の部材の厚みは薄め、左右上端・金網に葛の葉町時代に閂を使用していた跡が残ります。
後方の人物は弁慶でしょうか。

土呂幕・下勾欄

右面
土呂幕:『源平合戦』
下勾欄:『宇治川の先陣争い』

左面
土呂幕:『源平合戦』
下勾欄:『敦盛呼び戻す熊谷次郎直実』

左面後方の土呂幕には巴御前がいます。

台木

上が右面、下が左面
台木:『波濤に鯉』

台木は改修時に交換されていますが、鯉にガラス目が使用されており、古風なデザインです。
ここから見ると、台幅が柱二本分左右に広げられているのがよく分かります。

金具

①破風:『唐草模様』
②垂木先:『花菱紋』
③二重勾欄・縁葛隅
④肩背棒先:『加』の文字。
⑤通し柱:『菊紋』
⑥曳綱環

いかがでしたでしょうか。

富田林市に唯一存在する板勾欄型で、貴重な堀内市松の銘があり、正真正銘堺出身の地車です。
今後も末永く活躍してほしいですね。

加太の皆様、地車を見せていただきありがとうございました。

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