皆さんこんにちは。
最近、石川型の姿見はとても美しいなぁと個人的にハマっています。
何かしら石川型の記事を書きたい!との思いで、今回は以前取材しました伏見堂地車をご紹介いたします。
伏見堂地車は大工・彫刻師こそ不明ですが、製作年と寺内町より購入していることなどが明らかとなっており貴重な歴史ある作品です。
平成7年には大きく改修が施され、一部彫刻が新調されています。
それではご覧ください。
富田林市春日神社伏見堂地車
◆地域詳細
宮入:春日神社
小屋所在地:青蓮寺敷地内
歴史:肥沃な平野村で、岳山の西麓にあたる。地内には西野々古墳群がある。
◆地車詳細
形式:石川型
製作年:1853年(嘉永6年)
購入年:明治時代
大工:不明
彫刻:不明
歴史:富田林市寺内町→富田林市伏見堂
参考)
地域の歴史について
角川書店 『角川日本地名大辞典 27 大阪府』
姿見
左が前方、右が後方
石川型ですので俄舞台を持ち、スラッと背の高い姿見です。
前回の改修から20年以上経過していると思われ、良い感じに木の色が焼けています。
側面より
屋根周りは長押のあるタイプの豪華仕様。
勾欄は大屋根後方でくびれつつ、全周まわっている古い仕様です。
斜め前より
破風
石川型ならではの、美しい曲線の破風です。
枡組
5段4手先の組物が入ります。
鬼板
上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』
平成7年の吉為工務店での修復時に新調されたものです。
羽曳野市王水町地車のものと似ている気がしますので、松本彫刻でしょうか。
松並さんは多分違うでしょう。
箱棟
箱棟:『龍』
箱棟にもしっかりと彫刻が入っています。
懸魚
大屋根前方:『宝珠を掴む青龍』
こちらも改修時の作品です。
大屋根後方:『劉備檀渓?』
拡声器で少ししか見えないので、よく分かりませんが。
小屋根:『松に鷹』
羽を広げているのが一般的なので、畳んでいるのは珍しいです。
車板・枡合・虹梁・長押
大屋根前方
車板:『宝珠を掴む青龍』
大変立派な作品です。
大屋根前方
枡合:『龍』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
小屋根
車板:『唐子遊び』
小屋根後方
枡合:『龍』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
構造体虹梁の雲海模様の彫刻も彫りが深く、良い作品です。
右面大屋根側全体
右面大屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
右面大屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
右面小屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
左面大屋根側全体
左面大屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
左面大屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
左面小屋根側
枡合:『二十四孝』
虹梁:『唐獅子』
長押:『龍』
木鼻
木鼻:『阿吽の獏・牡丹』
上段が籠彫り牡丹、下段が獏で統一されています。
水引幕
右面:『?』
左面:『?』
中国系の題材と思われますが、詳細はよく分かりません。
袖壁
袖壁:『松』
勾欄斗束
前方:『力神』
勾欄合に彫刻はなく、斗束に彫刻が施されています。富田林市宮地車も同じ仕様です。
後方:『力神』
右面:『力神』
左面:『力神』
土呂幕・台木
土呂幕は幕式です。改修時に吉為工務店より寄贈されたものと思われます。
金具
①破風中央:『雲海に宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端部:『唐草模様』
④垂木先:『菊紋』
改修前の彫刻
会所に保管されているものを見せていただきました。眉が縦になびいているのは特徴的で格好いいですね。
赤目のものもあり、これはこれで取り付けられている状態で見てみたかったです。
いかがでしたでしょうか?
取材にあたり沢山親切にしてくださいました伏見堂の皆様、ありがとうございました。
またいつか良い雰囲気のお祭りを見に、春日地区を訪れたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。