神戸市東灘区弓弦羽神社 郡家地車

皆さんこんにちは。

前回に続き、今回も神戸の地車を記事にしたいと思います。
今回ご紹介するのは御影のだんじりで、宮本の郡家地車です。

郡家地車は昭和に新調しており、後に大型化改修がなされていますが、オリジナルの彫刻が殆ど維持されているため、彫刻の持つ表情が部分的に異なったり、木の色味が異なったりといったことが無く、彫刻の表情に統一感のある地車です。

地車オリジナルの素材を大切にし、派手に飾りすぎず、宮本の地車らしい厳かで勇壮な曳行を行っているような印象があります。

それではご覧ください。

神戸市東灘区弓弦羽神社 郡家地車

◆地域詳細
宮入:弓弦羽神社
小屋所在地:神社北東部 会館に隣接
歴史:地名は莵原郡の郡衙(役所)があったことに由来する。

◆地車詳細
形式:神戸型
製造年:昭和初期
大工:淡路の大工
彫刻:【彫寅】初代 北野寅蔵

参考)歴史について
角川書店『角川日本地名大辞典 28 兵庫県』

姿見

左が前方、右が後方

元は一回り小ぶりな地車でしたが、大型化改修されています。

側面より

恐らく淡路の大工の手による製作と思われますが、土呂幕は男屋根側・女屋根側1枚ずつの形式です。

斜め前より

提灯にあるように郡家は弓弦羽神社の宮本にあたり、江戸時代には既に曳行されていた記録が残っています。

破風

勾配は浅いですが、テリが非常によく効いた形状をしています。

枡組

シンプルに実肘木のみです。

鬼板

上から
男屋根前方:『獅子噛』
男屋根後方:『獅子噛』
女屋根:『獅子噛』

三面とも獅子噛で統一されています。
小顔でありながら手や歯のパーツが太く表現されており、力強さを感じます。

懸魚・桁隠し

男屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『朱雀』

女屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『鶯』

獣の題材で統一されています。懸魚には大型化による継ぎ足しの跡が見られます。

車板・桝合

男屋根前方:『鞍馬山修業の場』

車内:『猩々』

女屋根:『源頼政鵺退治』

右面男屋根側:『平景清錣引』

右面女屋根側:『義経景時逆櫓争い』

左面男屋根側:『?』

左面女屋根側:『忠信碁盤投げ』

神戸の地車だけあって、源平合戦の題材が豊富です。
小屋根の虹梁には黒柿?が用いられています。

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

大概は阿吽で交互に連続するようになっていますが、右面は吽・左面は阿で統一されています。珍しいですね。

水引幕

水引幕:『珠取り龍』

絵振板

絵振板:『阿吽の鶴』

脇障子

脇障子:『武者』

脇障子の枠にも黒柿?が使われています。

見送り幕

正面:『楠木正成 後醍醐天皇拝謁』

見送り幕は少し趣旨を変えて、太平記になっています。
桜井の駅等が名場面ですが、後醍醐天皇が見た夢のお告げにより呼び出した楠木正成と対面する場面が最も目立つところに刺繍されています。

右面:『楠木正成出陣』

三枚板でもたまにお見掛けする題材です。

左面:『児島高徳 櫻木に和歌を詠む』

こちらも地車彫刻の題材でよくお見掛けする題材。

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『司馬温厚の甕割り』

後方
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『唐子遊び』

右面男屋根側
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『唐子遊び』

右面女屋根側
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『唐子遊び』

左面男屋根側
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『唐子遊び』

左面女屋根側
勾欄合:『唐子二十四孝』
縁葛:『唐子遊び』

勾欄合・縁葛は唐子の題材で統一されています。

土呂幕・台木

前方
土呂幕:『源平合戦』
台木:『波濤に兎』

この辺りも大型化工事の跡がよく分かる部分です。

後方
土呂幕:『源平合戦』
台木:『波濤に兎』

囃子方乗降のために、片開きの扉式になっています。

右面男屋根側:『源平合戦』

右面女屋根側:『源平合戦』

左面男屋根側:『源平合戦』

左面女屋根側:『源平合戦』

特に限定的な場面はなさそうですが、枡合の題材から察するに源平合戦を表現していると見て良いかと思います。

台木

右面:『波濤に兎』

左面:『波濤に兎』

少し面白い形をしています。
大きな猫木が上にひっくり返して存在しているような形状で、ホゾも上方で取られています。これも大型化によるものと思います。

昼提灯

昼提灯:『龍・唐獅子・玄武』
雪洞:『水仙・楓』

中央の提灯には弓弦羽と書かれた鳥居も。
水引幕・見送り幕・昼提灯は御影の絹光工房で作られたものです。

左面:『鳳凰・唐獅子・虎』
雪洞:『桜・朝顔』

雪洞も非常に大きなもので、綺麗です。

金具

①破風中央:『雲海に橘紋』
②破風傾斜部・端部:『昇龍・唐草模様』
③垂木先:『橘紋』
④脇障子兜桁:『橘紋』
⑤勾欄先:『橘紋』
⑥台木先:『宮本』の文字。

いかがでしたでしょうか。

やはり地車彫刻はオリジナルの良さが残っているものに魅力を感じますね。
貴重な初代彫寅の作品として今後もそのままあり続けてほしいと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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