大阪市西淀川区鼻川神社 鼻川地車

皆さんこんにちは。

今回ご紹介しますのは、鼻川地車です。
先代地車を解体処分して以来44年間地車がありませんでしたが、平成13年に富田林市伏山より地車を購入し、曳行が復活しました。

数少ない板勾欄型で、大屋根側のみ擬宝珠勾欄に交換されています。
つい先日、平野区細田町地車が大改修の折に勾欄の交換を行いましたが、前回記事にした東灘区中御影、東大阪市新家西町・高石市新家など、勾欄の改修を受けている地車は多く存在します。

それではご覧ください。

大阪市西淀川区鼻川神社 鼻川地車

◆地域詳細
宮入:鼻川神社
小屋所在地:神社横
歴史:神功皇后来訪の際に、村人がつきたての餅を柏の葉にのせて献上した。
当地が無名であるのを聞いた神功皇后は、地形が対岸に突き出て鼻のようなので、地名を「はなかわ」、渡しを「かしわの渡し」と命名した。
これを記念して神功皇后を祀り、後に住民と関係の深い海老江の氏神である須佐之男命を併せて祀るようになったと伝えられている。
 
◆地車詳細
形式:板勾欄出人形堺型 (擬宝珠勾欄改造)
製作年:明治時代?
購入年:平成13年
大工:河村新吾?
彫刻:【彫又】
歴史:?→堺市平井→富田林市伏山→西淀川区鼻川  

◆歴代鼻川地車
・先代:昭和32年解体。
・現地車:平成13年に富田林市伏山より購入し、44年ぶりの復活。

参考)
歴史について
大阪市西淀川区ホームページ 『歴史を訪ねて(西淀川区) 区内の碑

先代地車・購入年について
『山車・だんじり悉皆調査』 

姿見

左が前方、右が後方。

過去に高さを上げる改修を受けているようで、幅に対してかなり背が高い地車です。

側面より

斜め前より

御幣についている鼻川の額が独特です。
飾りつけは白提灯に鼻川の文字や紋。あっさりとした雰囲気です。

破風

後方より

過去の改修で交換されているようです。かなり重厚につくられています。
桁隠しはありません。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『麒麟』
小屋根:『青龍』

3面とも題材が異なります。

箱棟

左面です。
上が大屋根、下が小屋根
箱棟:『雲海』

新調当時の作で雲海の彫刻が入っています。

懸魚

上から
大屋根前方:『鳳凰』
小屋根:『猿に鷲』

車板・枡合

上から
大屋根前方
車板:『雲海』
枡合:『唐獅子』

小屋根
車板:『雲海』
枡合:『唐獅子』

神額はありませんでした。

枡合

右面です。
上から
大屋根
枡合:『唐獅子』

小屋根
枡合:『唐獅子』

左面です。
上から
大屋根
枡合:『唐獅子』

小屋根
枡合:『唐獅子』

平側・妻側共に枡合は唐獅子で統一されています。 台輪に彫刻はなく、虹梁も構造部材のみで彫刻はありません。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全部で8体です。
小屋根は葺地を削って彫刻を守っています。

柱巻き

柱巻き:『龍退治』

勾欄合

上から
大屋根前方、右面、左面
勾欄合:『松竹梅』

大きく2つに分かれた勾欄合というのも珍しいです。
松竹梅と、縁起のよい題材。

天蓋

天蓋:『雲海』

住吉方面の板勾欄型と明らかに異なる仕様として天蓋彫刻があることが挙げられます。

車内枡合・花戸口虹梁

車内枡合:『牡丹』
花戸口虹梁:『鶴』

車内枡合に彫刻がつきます。
花戸口虹梁は彫り換えられています。

脇障子

左が右面、右が左面
脇障子:『?』

脇障子の兜桁が古い材であり、オリジナルの状態でもついていたと思われます。

三枚板

正面:『天竺の班足王』

正面にこの題材が来るのは珍しいですね。

右面:『武松の虎退治』

左面:『楚の項羽、烏騅と云う名馬を得る』

柏原市安堂地車、守口市八雲南地車も同様の題材です。
この二台は擬宝珠勾欄型で、板勾欄出人形型の三枚板ではかなり珍しい題材です。

角障子

左が左面、右が右面。
角障子:『唐獅子』

人物ではなく唐獅子です。

摺出鼻

左が右面、右が左面。
摺出鼻:『牡丹』

途中で切断されています。葉の形から察するに元は牡丹の彫刻かな?

持送り

持送り:『波濤』

土呂幕

上から
前方:『武者』
後方:『飛龍』

前方は扉式、交換されています。
交換前も扉式だったのでしょうか?

右面です。
上から
大屋根側:『飛龍』
小屋根側:『飛龍』

左面です。
上から
大屋根側:『飛龍』
小屋根側:『飛龍』

全て飛龍で統一されています。

台木

上が右面、下が左面。
台木:『波濤』

大工を知る上で重要な鍵ですが、台木・貫腕は交換されています。

要所

①大屋根枡組:二段一手先です。先の模様も大工特定の手がかりとなりますが完全一致のものは見つからず。
②小屋根枡組
③角障子下:高さを足した跡があります。東の文字はこの付近の地車の呼び方の特徴で左面は東、右面を西と呼びます。
④貫腕:交換されており、模様が入っていますね。
⑤前方妻台:ブレーキのために前方寄りに妻台を設けていたのか?そのまま懐として使用しています。
⑥後方妻台:新しい部材に交換されており、旗台もありません。

金具

①屋根端:『唐草模様・昇龍』
②垂木先:『五瓜に唐花紋』
③脇障子兜桁:『花角紋』
④縁葛端:『唐草模様』
⑤縁葛中央:『五瓜に唐花紋・菊紋』
⑥肩背棒先:『鼻川』の文字。

いかがでしたでしょうか?

勾欄は変わっていますが彫刻はオリジナルのものが多く、昔を知ることが出来る貴重な地車でした。

神社の祭礼日に合わせて曳行する地域もありますが、鼻川の地車は祭礼日に近い土日に曳行されているので、比較的見やすい祭礼です。
枕太鼓もありますので、太鼓ファンの方も是非見物に行ってみては如何でしょうか?

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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