大阪市東成区熊野大神宮御旅所 東今里神路地車

皆さんこんにちは。

多忙につき、なかなか記事が書けず…前回の更新より少し時間が経ってしまいました。
年を越すまでに今年のまとめ記事は書いておきたいところです(汗)

さて、今回は以前より度々検索頂いておりましたので、東今里神路の地車をご紹介したいと思います。

東今里神路の地車は綺麗に手入れされているため、一見新しい地車に見えますが、明治2年以前に製作されたものではないか、とされている歴史ある一台です。
嬉しいことに、彫刻もオリジナルのものが沢山残っています。

それではご覧ください。

大阪市東成区熊野大神宮御旅所 東今里神路(ひがしいまざとかみじ)地車

◆地域詳細
宮入:熊野大神宮
小屋所在地:御旅所境内
歴史:神路という地名は神武天皇が東征の際に暗峠奈良街道を通ったことに由来する。

◆地車詳細
形式:大阪型
製作年:(大太鼓の銘より)明治2年以前か?
改修年:平成15年
大工:不明
彫刻:相野喜兵衛
改修大工:池内工務店
改修彫刻:?
歴史:
明治22年に旧大和川の堤が切れた洪水で20日余り水に浮かんでいたことがある。
昭和15年位までは毎年曳かれており、戦後21年の復興祭で再び曳かれるものの7・8年で曳行が途絶え、約30年間小屋に眠ることになる。
大阪城築城400年祭にて再び曳き出すことになったが、痛みが激しかったため、地元の人々の手により修復される。

◆歴代東今里神路地車
・現時車:初代か。 

参考)
地名の由来について
大阪あそ歩 神武天皇から軍需工場からモノづくりの東成へ ~頑張っているモノづくり企業を覗いてみましょう~ http://www.osaka-asobo.jp/course20.html

地車改修年について
山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/

製造年・彫刻師・歴史について
社団法人大阪観光協会『大阪のだんじり』 

姿見

左が前方、右が後方。

側面より

改修の際に勾欄合・縁葛・台木(元は彫刻なし角材)を新調しています。
葺地の厚み・台木の寸法などが良く、バランスのとれた美しい姿見だと思います。

斜め前より

写真は白の提灯ですが、赤の提灯をつけていることもあります。

斜め後より

三枚板、編み込み付近の提灯の付け方が独特です。

破風

神戸の地車を連想させるほど破風の反りが大きいです。 大阪型地車に類するものがなく、この地車の大きな特徴と言えるでしょう。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

表情が少しずつ異なり、特に小屋根の獅子噛はこちらをしっかりと睨んできます。
獅子噛の裏面に彫刻師の銘があるようです。

箱棟

大屋根:『青龍』
小屋根:『飛龍』

箱棟にも彫刻が施されています。

大屋根後方の獅子噛と小屋根箱棟の飛龍が睨み合います。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『青龍』

小屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『松に猿』

前方は神獣、後方は動物です。
欠けてしまった部分はオリジナルの雰囲気を崩さないよう、上手に修復されています。

車板

前方:『宝珠を掴む青龍』

花戸口虹梁

花戸口虹梁:『鶴』

大屋根平側車板

右面:『吽の龍』

左面:『阿の龍』

肉付きの良い龍が阿吽で彫刻されています。
大屋根下には提灯をつけていなかったのでよく見ることができます。

木鼻

木鼻:『唐獅子・力神』

唐獅子の表情が良いですね。接合部を見せないよう、力神がその上におります。

脇障子

脇障子(上方):『獅子の子落とし』

この地車で私が一番気に入った場所が写真右側の唐獅子です。
素晴らしい細工です。

脇障子:『阿吽の龍』

龍の胴体が框からはみ出して巻きついています。

脇障子(下方):『唐獅子』

脇障子の枠の一番下に唐獅子が隠れています。

三枚板

正面:『唐獅子』

少し見えにくいので、隙間から見てみると…↓

大きな唐獅子が宝を咥えています。

三枚板・車板

右面:『牡丹に唐獅子』

左面:『牡丹に唐獅子』

小屋根の車板は三枚板と関連性があると思ったため、同時にご紹介させて頂きます。

三枚板には大きな唐獅子が一体ずつ彫刻されています。
左面の唐獅子はなかなか良い表情をしています。

角障子

角障子:『阿吽の龍』

私が好きな角障子の細工です。
大阪市内では他に田嶋・横堤・小路などで見ることができます。

勾欄合

上が前方、下が後方。
勾欄合:『松竹梅』

上が右面、下が左面。
勾欄合:『松竹梅』

修復の際に新調されています、松竹梅で縁起の良い題材。

縁葛

縁葛:『唐草模様』

縁葛は全て伊勢込みで唐草模様になっています。
改修前も同様の題材で、オリジナルの雰囲気を継承しています。

土呂幕

上が前方、下が後方。
土呂幕:『竹に虎』

右面:『竹に虎』

左面:『竹に虎』

阿吽になっており、どれも良い表情をしています。

台木

上が前方、下が後方。
台木:『波濤に鯉』

上が右面、下が左面。
台木:『波濤に鯉』

左右で5匹ずつ、沢山の鯉がいます。

金具

①破風中央:『雲海に宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端:『唐草模様』
④破風平側:『牡丹・唐草模様』、垂木先:『五瓜に唐花』
⑤勾欄親柱付近:『銀地に唐草模様』
⑥宝:『鳳凰』
⑦肩背棒先:『五瓜に唐花』

要所

①直接差すのではなく、斗を挟んでいます。
②お囃子は大太鼓・小太鼓・鉦それぞれ1つずつで構成されます。

いかがでしたでしょうか?

東今里神路の地車は夏・秋・区民祭りと、年に3回見る機会がありますので、非常に見に行きやすい地域です。
今年の秋祭りには大阪市内初?となる西今里との『2台同時紙破り』を成功させています。(YouTube等にも動画が上がっていますので、一度検索されてみては如何でしょう。)
来年以降も面白い取り組みがあれば良いな、と楽しみにしています。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

「大阪市東成区熊野大神宮御旅所 東今里神路地車」への3件のフィードバック

    1. 地車写真保存会

      匿名 様

      祭禮参加者の方からのコメントありがとうございます。励みになります。
      今後もより良い記事を書けるよう努めますので、新着投稿につきましてもお手隙の際にチェックいただけたらと思います。

      引き続き、当サイトを何卒よろしくお願い申し上げます。

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