東大阪市 長瀬南地区大蓮地車(休止)

皆さんこんにちは。

記事にできそうな地車が150台を超えているので、見物にも行きますが、書くことも少し頑張ってみようと考えている今日この頃です。
私にとっても記事にまとめておくことで、万が一ハードディスクが壊れてしまった際に、これまで撮影した画像を失わなくて済むメリットがあります(笑)

さて、今回ご紹介しますのは長瀬南地区大蓮地車。
以前から見物したいと思っていたのですが、神社の祭礼ではなく、いつどこを曳行しているのか全く情報が無いため、夏祭りでは毎年遭遇出来ずにいました…(出ているのは夜だけ?)
しかし、近年は長瀬地車パレードに参加しているため、見物の機会が増えたようです。

長瀬南地区大蓮…よく南大蓮と呼ばれているため、私は「小屋の場所が大蓮北なのに何故南大蓮なのか…」と、以前から不思議に思っていました。
しかし、今回の見物で分かったのですが、どうやら南については「長瀬の南」であって「大蓮の南」ではない、とのことでした。

まだまだ謎の多い地車ですが、今年の長瀬地車パレードの際に写真に収めて参りました。

それではご覧ください。

東大阪市 長瀬南地区大蓮地車

◆地域詳細
宮入:なし
小屋所在地:長瀬南小学校北西付近
神社の祭礼ではなく、有志による曳行を行っている。

◆地車詳細
形式:大阪型(元・板勾欄出人形住吉型)
製作年:江戸~明治時代
購入年:平成2年
大工:住吉方面の大工
彫刻:【彫又】
改修大工:河合工務店
改修彫刻:? 
歴史:堺市片蔵→東大阪市長瀬南地区大蓮

姿見

左が前方、右が後方。

背が高く、角柱。
擬宝珠勾欄住吉型のようで、大屋根と小屋根の段差が少なく、旗設備と後梃子がつかない大阪型。
角の肩背棒と前後の懐が平野方面仕様です。

側面より

三枚板や土呂幕に古い彫刻が残ります。
実は元・板勾欄型だったと推察出来る一台です。詳しくは後述します。

斜め前より

高さ・長さのバランスが良く、綺麗な姿見をしています。
この付近は区画整理されているので、曳行に差し支える障害物がないことも影響しているのでしょう。

破風

ある程度の勾配があり、中央部もやわらかく丸みを帯びています。

獅子噛

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

3つの渦、眉間、耳の形…
雰囲気は川原一門の獅子噛に見えなくもないですが、誰が彫ったのかはよく分かりません。

箱棟

箱棟:『雲海』

雲海の彫刻が施されています。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『龍』

小屋根
懸魚:『松に鶴』
桁隠し:『松に鷹』

枡合・虹梁・持送り

上から
大屋根前方
枡合:『龍』
虹梁:『雲海』
持送り:『鶴』

車内枡合:『龍』

小屋根
枡合:『竹に虎』

取り付け方が太鼓台の狭間のような感じですが、枡組がついているので一応枡合として紹介します。

虹梁をかなりくり抜いているためか、持送りがつきます。
車内の龍はこの地車新調当時の作でしょう。

右面です。
上から
大屋根前方
枡合:『干支(猿・酉)』
虹梁:『牡丹に唐獅子』
持送り:『鶴』

小屋根
枡合:『干支(午・未)』

左面です。
上から
大屋根前方
枡合:『干支(子・丑)』
虹梁:『牡丹に唐獅子』
持送り:『鶴』

小屋根
枡合:『干支(寅・辰)』
干支ですが、金綱や提灯に隠れているだけで、他の動物もどこかにいるのではないかと思います。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『阿吽の唐獅子・獏』

柱:『昇龍・降龍』

擬宝珠勾欄住吉型風の角柱で、どれも彫刻が施されています。

脇障子

脇障子:『武者』

下方が絞られており、元々角障子だったような印象の部材です。

脇障子人形:『?』

板勾欄型の名残で兜桁の上に人形がいます。

三枚板

正面:『漢の高祖龍退治』

漢の高祖…のはずなんですが、右の人物は大巳貴命に見えます。
龍の場所はここで正解と思われます。

劉邦は何処へ行ったのかと言いますと…

右面:『劉邦・虎』

右面で虎と戦っておりました、改修の際に顔をつけ間違えてしまったのでしょう。

ですから、改修前の右面の題材は大巳貴命大鷲退治?

左面:『雄略天皇猪退治』

こちらは人のポーズや、動物の胴体・足を見る限り、元の題材通りだと思われます。
猪の顔は彫り換えのようです。

勾欄合

前方:『波濤に千鳥』
後方:『波濤に千鳥』

右面:『波濤に千鳥』
左面:『波濤に千鳥』

勾欄合は全て波濤に千鳥で統一です。

縁葛

前方:『合戦譚』
後方:『合戦譚』

右面:『合戦譚』
左面:『合戦譚』

何かモデルとしている戦いがあるのかは分かりませんが、戦の様子が彫刻されています。

土呂幕

前方:『山水草木』
後方:『牡丹に唐獅子』

前方の扉式は彫りなおされていますが、改修前の様式を引き継いだと思われます。

右面です。
大屋根側:『牡丹に唐獅子』
小屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面です。
大屋根側:『牡丹に唐獅子』
小屋根側:『牡丹に唐獅子』

側面は貴重な新調当時の彫刻です。
額に囲われている様子から、現在は大型化していることが分かります。
目玉の影響もありますが、独特の雰囲気をしています。

台木

右面:『波濤に玄武』

左面:『波濤に玄武』

購入時に交換されたものです。
平野風の曳行をするためには前後に懐が必要で、通常よりも長めの台木になっているかと。

要所

①枡組:枡組がついていますが、小屋根と干渉させることで段差を少なくし、大阪型風にしています。
②大屋根右面虹梁:晃一作、と刻まれています。
③前方妻台:引き綱はフックで固定するようです。梃子だけでなく、ペダル式ブレーキがつきます。
④後方妻台:後方の懐。

金具

①破風中央部:星梅鉢紋。
②破風傾斜部:昇龍・降龍。
③破風端部:唐草模様。
④桁先:亀甲花角紋、珍しいですね。
⑤垂木先:星梅鉢紋。
⑥脇障子兜桁:「南」の文字
⑦勾欄親柱・縁葛西隅:金メッキで、花角紋。
⑧肩背棒先:「大」・「蓮」の文字

関連動画

南大蓮出発の様子と、JR長瀬駅集結・出発の様子を収録しています。

いかがでしたでしょうか?

原型は殆ど無いですが、東大阪市でも元・泉州の上地車が活躍しています。
興味がある方は是非一度見に行ってみては如何でしょうか?

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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