皆さんこんにちは。
各地の祇園祭が終わり、梅雨も明け、いよいよ夏本番といったところでしょうか。
私は今年の祇園祭は博多祇園山笠を見物しておりましたが、個人的には佐原囃子に「ソーリャー」の掛け声、笛と拡声器も相まって非常に威勢の良い曳き廻しを見ることが出来る成田祇園祭が恋しいですね。(今年はYouTubeの生配信を見ていました。)
成田祇園祭には10台の様々な形式の山車がありますが、そのうち5台(本町・仲之町・成田山交道会・花﨑町・土屋)が江戸型山車で、5台のうち2台(花﨑町・土屋)が江戸囃子ではなく佐原囃子に合わせて曳き廻しを行います。
江戸型山車に佐原囃子の組み合わせは、江戸囃子と佐原囃子の切り替わりポイントでもある成田ならではの光景で、非常に格好良いと思います。
それではご覧ください。
成田市成田山新勝寺 花﨑町山車
◆山車詳細
形式:江戸型
製作年:1976年 (昭和51年)
大工:池田正一 (花﨑町)
彫刻:【江森社寺彫刻】江森南峯 (成田市)
人形師:【面六】
額:『智勇』(知恵と勇気)
書家:成田山新勝寺中興第二十一世貫首 橋本照稔大僧正
姿見
左が前方、右が後方。
3年の歳月をかけて製作された山車です。過去に修復を受け、彫刻や金具の追加が行われています。
江戸型の囃子台の屋根は欄干であったり唐破風であったり様々ですが、花﨑町は唐破風を採用しています。
車体の殆どが黒漆塗りとなっていますので、非常に引き締まった印象を受けます。
側面より
成田駅前で鉾と人形をせり上げた状態。
見せ場でなければ仕舞われていることが多く、止まっている状態で見れたのはラッキーでした。
斜め前より
鉾と人形を仕舞った状態。
斜め前より
鉾と人形をせり上げた状態。
斜め後より
破風
姿見でも述べましたが、全体的に黒漆塗りとなっており、ポイントで赤漆が入っています。
屋根板は金属板葺きになっています。
鬼板・懸魚
鬼板:『花』の文字。
懸魚:『鳳凰』
扁額・欄間
扁額:『智勇』の文字。
欄間:『飛龍・龍』
扁額は牡丹・竹・梅等の彫刻で縁取られており、大変豪華です。
扁額を支える唐獅子も良い彫刻です。
欄間
右面:『牡丹』
左面:『牡丹』
木鼻
獏様になっています。
脇障子
脇障子:『牡丹』
人形
人形:『八幡太郎義家』
上勾欄・中勾欄・三味線胴
後方
三味線胴(上):『朱雀』
三味線胴(中):『牡丹』
右面
三味線胴(上):『朱雀』
三味線胴(中):『牡丹』
左面
三味線胴(上):『朱雀』
三味線胴(中):『牡丹』
上段四方幕・見送り幕
上段四方幕:『鶴』
見送り幕:『波濤に千鳥』
見送り幕
後方:『昭和五十一年七月吉日 花崎町』の文字。
この山車の製作年が記されています。
法被や提灯は『﨑』の字ですが、見送り幕や花若連公式SNSは『崎』の表記になっていますね。私はとりあえず『﨑』の字にしておきます。
右面:『波濤に千鳥』
左面:『波濤に千鳥』
どうやら令和5年の祭礼では上段四方幕共に幕が変わっており、上段四方幕は『鶴』、見送り幕は『牡丹に唐獅子』となっていました。
以前の幕も同じ題材でしたので、修復したのかもしれません。
勾欄下・台輪
前方
台輪:『波濤』
掛板と縁葛は平成16年の改修で彫刻が追加されました。
端部・中央部には紗綾形の模様があしらわれています。
後方
勾欄下:『大江匡房に兵法の教えを請う』
台輪:『波濤』
勾欄下は人形と同じ、源義家にまつわる題材で統一されています。
右面全景
右面
台輪:『波濤に鯉』
右面
勾欄下:『勿来の関にて和歌を詠ず』
台輪:『波濤に鯉』
左面全景
左面
台輪:『波濤に鯉』
左面
勾欄下:『雁行の乱れを見 伏兵を知る』
台輪:『波濤に鯉』
腰幕・車輪
腰幕:『花﨑音頭』 「ハァーはなの花﨑 せのやっとん わかさのまちよ」 歌い始めの一節です。
車輪は平成23年に新調されたもの。漆塗りで金具付きの美しい車輪です。
いかがでしたでしょうか。
祇園祭の熱が冷めないうちに私の好きな山車をご紹介させていただきました。
花﨑町は手踊りの際に曳き手も屋根方も黄地赤渦の番傘を使って踊るのが特徴で、非常に華があり、名物となっています。
手踊りは様々な場面で披露されますので、是非注目して見て頂きたいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。