北葛城郡広陵町於神社 大塚地車

皆さんこんにちは。

本来であれば秋祭り真っ盛りの第二土日・・・なんですが、今年は知っての通りの自粛期間。
単独でちらほら地車が出ているのは知っていますが、何のための自粛か、余所者が見に行っても良い顔はされないだろうし、十分に地車を近くでぐるりと見て回ることは出来ないだろうと思い、結局のところ大人しく自宅で過ごしています。
まぁ今年はこれでも良いのかもしれません、今こそ勉強の時・・・ということで、自分の中で流行っている堺型の記事を今回も書きたいと思います。

今回ご紹介する大塚地車は少し特徴ある一台で、足回り~柱まではよくある堺型なんですが、屋根まわりに特徴があり、重厚な枡組に幅広の屋根、手前に張り出した彫刻を持ち、あまり例のない試みが行われている地車と言えます。
類似する特徴を持つ地車は広陵町笠地車のみの少数派です。

それではご覧ください。

北葛城郡広陵町於神社 大塚地車

◆地域詳細
宮入:於神社
小屋所在地:神社境内

◆地車詳細
形式:堺型
製造年:江戸末期
大工:不明
彫刻:服部一門
歴史:?→南郷方面→広陵町大塚

姿見

左が前方、右が後方

肩背棒以外手が加えられておらず、貴重なオリジナルの面影を残している地車です。

側面より

脇障子のみあり、縁葛は分割タイプ、土呂幕は上下2段タイプです。
水引幕には昭和38年10月15日の文字がありましたので、その時にはこの地車が大塚の地に居たことになります。

斜め前より

大工仕事的に同じの仕様の地車は、偶然にもご近所である広陵町の笠地車のみが該当し、他は存在していないと思われます。
2台のみ現存する貴重な仕様です。

斜め後より

破風

中央部の幅が広く、特徴ある破風形状です。
小屋根のみ折り畳み可能です。

枡組

かなり重厚な枡組が組まれており、これも特徴ある部分です。
台輪は5段に見える細工が施されています。

鬼板

上から
大屋根前方:『唐獅子』
大屋根後方:『虎』
小屋根:『龍』

3面とも獣の彫刻になっています。
大屋根後方の虎は岩隠れのデザインで面白いです。

懸魚

上から
大屋根前方:『鳳凰』
大屋根後方:『鷲』
小屋根:『?』

車板・枡合

大屋根前方
車板:『鳳凰』
枡合:『牡丹に唐獅子』
虹梁:『龍』

この地車の彫刻はかなり特徴的で、車板や虹梁は出人形のように、手前に立体的に彫られた彫刻が取り付けられています。

大屋根後方
車板:『唐獅子』
枡合:『牡丹』

通常であればそれほど立派な作品は来ない大屋根後方の車板にも、しっかりと立体的な唐獅子が彫刻されています。

小屋根
車板:『鳳凰』
枡合:『牡丹に唐獅子』

枡合

右面大屋根側
枡合:『?』
虹梁:『飛龍』

提灯でよく見えませんが、虹梁の部分に出人形パーツが取り付けられています。

右面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』

左面大屋根側
枡合:『?』
虹梁:『飛龍』

こちらは比較的よく見えます、特徴的ですね。
北河内型等、車板でこのように手前に張り出した彫刻が施されることはよくありますが、枡合ではなく虹梁でこのような細工を行っているところが、クセが強いと感じる部分です。

左面小屋根側
枡合:『牡丹に唐獅子』

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全部で10体あります。

車内枡合

車内枡合:『牡丹に唐獅子』

目もしっかり付いていてオリジナルらしさがよく残っている彫刻です。

間仕切り

間仕切り:『谷越獅子』

脇障子

脇障子:『武者』

細長い脇障子が取りつきます。

三枚板

正面:『漢高祖龍退治』

こちらは定番の題材。

右面:『馬超』

笠地車の正面にも彫刻されている題材です。
ポージングや服の様子等は別物なので同じ下絵で作られた彫刻という訳ではありません。

左面:『武松の虎退治』

こちらもよく見る題材の作品です。

摺出鼻

摺出鼻:『谷越獅子』

旗台

旗台:『力神』

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『波濤に千鳥』
縁葛:『干支』

後方
勾欄合:『波濤に千鳥』
縁葛:『干支』

右面
勾欄合:『波濤に千鳥』
縁葛:『干支』

左面
勾欄合:『波濤に千鳥』
縁葛:『干支』

勾欄合、縁葛は全周とも題材が統一されていました。

持送り

持送り:『谷越獅子』

この地車は色んなところに谷越獅子が彫刻されています。

腕木・持送り

腕木:『阿吽の唐獅子』
持送り:『牡丹』

持送りはバリエーション豊かなものではなく、牡丹の題材に絞って彫刻されています。

土呂幕

前方:『獅子噛・牡丹』

中央に獅子噛がいます。閂は現在は使われていません。

平側全景

間柱ありの3分割、虹梁を挟んで上下二段の仕様です。
後の時代につけられた肩背棒が遠慮なく土呂幕を貫通しています。

後方:『牡丹に唐獅子』

上段下段とも牡丹に唐獅子で、これはこれで珍しいかもしれません。
仙人など、人物系の題材は土呂幕には一切ありません。

右面:『牡丹に唐獅子』

左面:『牡丹に唐獅子』

顔が無事の個体が少ないのが悔やまれます。

下勾欄合

右面:『波濤』

左面:『波濤』

上部の勾欄合には千鳥が飛んでいましたが、こちらにはありません。

台木

右面:『波濤』

左面:『波濤』

芯金まわりの補強が加えられたのみで、貴重なオリジナルが残っています。
波の形は中央は繋がっておらず、前後に2つの大波が分かれている仕様です。

金具

①破風中央・破風傾斜部:『唐草模様』
②破風端:『唐草模様』
③垂木先:『左三つ巴紋』 社紋としては正解で、ここだけ肩背棒の金具と似た色合いをしているので、大塚の地に嫁いでから交換されているようです。
④柱:『唐草模様』
⑤縁葛:『唐草模様』
⑥肩背棒先:『大・塚』の文字

いかがでしたでしょうか。

特徴ある面白い一台だったと思います。
土呂幕内部には色々墨書きがあったのですが、大工や村の名前のようなものは見当たりませんでした。
笠地車からもそのような情報が見つかっていないことから察するに、大工の名前を特定するのは困難なのかもしれません。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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