芦屋市三条八幡神社 三條地車

皆さんこんにちは。

今回は、以前より何度か三條地車を検索して当ブログへ辿り着いた方がいらっしゃるようですので、修理入魂式の様子だけでなく、地車本体についてもご紹介したいと思います。
この地車が三條の地にやってきたのはつい最近の2003年ですが、地車自体は恐らく幕末辺りに製作されたであろう100年モノの作品で、各所痛みも激しかったことから、三條の地に来て15年目の節目に文化庁の助成金を活用した修復が行われました。 洗いがけを行い、残せる彫刻や金物は修復して再度組立、屋根周りと足回りの一部が新調されました。

それでは、綺麗に生まれ変わった三條地車を見ていきましょう。

芦屋市三条八幡神社 三條地車

◆地車詳細
形式:大阪型
製作年:不明
購入年:2003年(平成15年)
大工:不明
彫刻:相野一門
改修大工:小田工務店
改修彫刻:松本彫刻
歴史:吹田方面→西宮市名塩東之町→芦屋市三條

◆歴代三條地車
・先代:岸和田型、平成3年に泉佐野市下瓦屋南より購入、現地車購入に伴い愛知県常滑市へ。
・先々代:神戸型、昭和3年に中島畳店より購入、昭和39年に売却。現・大阪市平野区六反地車。
・三先代:江戸後期か明治初期に創始。明治12年には存在しており、大正初期に解体。

参考) 購入年・歴史・歴代三條地車について
 山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/ 

姿見

左が前方、右が後方。

大阪型の中では、サイズが大きい方ではないでしょうか。

側面より

大阪型ですので、神戸型とは構造が異なります。
6本の通し柱で、三枚板彫刻があります。

斜め前より

斜め後より

破風

古い大阪型と言えば、急な勾配の破風であることが多いですが、この地車の破風は緩やかです。
今回の改修で鬼板・懸魚・桁隠しが交換されましたので、かなり印象が変わりました。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

特徴ある顔をしています。 大屋根後方に元の獅子噛を残してくれているのが嬉しいですね。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『飛龍』
桁隠し『麒麟』

元は懸魚のみで、鳳凰の彫刻でした。

小屋根
懸魚:『控鶴仙人』

相野一門彫刻の地車にはよく登場しますね。

枡組・仕口

大屋根側

大斗肘木タイプです。

小屋根側

柱と桁を直結するタイプです。

車板

大屋根前方:『猿に鷲』

動物は少し小さめに彫刻され、周りの風景がしっかりと彫刻されています。
掴み合っていないので、これはこれで珍しいかもしれません。

小屋根:『宝珠を掴む青龍』

右面
大屋根側:『唐子遊び』
小屋根側:『桜井の別れ』

左面
大屋根側:『布袋和尚』
小屋根側:『翠虚』

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『阿吽の唐獅子・牡丹』

珠を咥えているものもあったり、斜めを向いていたり、遊び心溢れる作品です。

水引幕

水引幕:『珠取り龍』

立派な飾り幕です。川村刺繍の作品。

提灯

右面

左面

絵振板

絵振板:『牡丹』

脇障子

脇障子:『虎・龍』

脇障子:『虎・龍』

前方、後方それぞれに彫刻されています。

三枚板

正面:【三国志】『?』

右側:【三国志】『孔明・関羽』

左側:【三国志】『玄徳陛下 孔明が午睡の覚るを待つ』

ストーリーが分かったのは左面のみですが、恐らく三面とも三国志の題材と思われます。 古い地車ならではの火燈窓の細工を見ることが出来ます。

勾欄合

前方:『波濤』

後方:『波濤』

右面大屋根側:『干支・鳳凰』

右面小屋根側:『干支・鳳凰』

左面大屋根側:『干支・鳳凰』

左面小屋根側:『干支・鳳凰』

側面は干支、数合わせのために両端は鳳凰の彫刻です。

台木

上が前方、下が後方。
台木:『波濤に玄武』

彫刻とは関係ないですが、後方の綱の回し方が独特ですね。
下り道で後ろに綱をひっかけるためのものでしょうか。

右面:『波濤に玄武』

左面:『波濤に玄武』

金具

①破風中央:『雲海に宝珠・左三つ巴紋』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端:『波濤』
④垂木先:『左三つ巴紋・橘紋』 桁にかかる場所だけ橘紋です。
⑤兜桁先:『左三つ巴紋』
⑥脇障子:『菖蒲』

破風端の波濤の金具や脇障子の菖蒲の金具など、改修前からついていた古風で良い雰囲気を持つ金物が綺麗になり、再び取り付けられました。

いかがでしたでしょうか。

100年以上生きてきた地車ですが、今回の修復によって、更に長生きすることができ、より三條の地に馴染んだことでしょう。
お披露目曳行での先々代の六反地車との交流・合同曳行も大変良かったですね。

三條の皆様、この度は地車の大修復おめでとうございます。

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