大阪市城東区八劔神社 鴫野西之町地車

皆さんこんにちは。

前回の諏訪地車の記事に引き続き、同日に拝見した鴫野西之町地車をご紹介します。
鴫野西之町地車は今年改修を行い、城東連合春祭りの前に入魂式とお披露目曳行が行われました。

鴫野西之町地車をじっくり見たのは2011年以来ですが、今回の改修で鬼板・三枚板の彫刻が入れ替えられ、洗いがかけられたことで、以前と印象がかなり変わりました。
改修前の写真も載せていますので、見比べていただけたらと思います。

城東区八劔神社 鴫野西之町地車

◆地域詳細
宮入:八劔神社
小屋所在地:鴫野東2交差点を北上し、次の信号を西方向へ進んだところ。
歴史:慶長十九年(1614)十一月二十六日に起きた大坂冬の陣「鴫野・今福の戦い」は今の城東区域が戦場になりました。八劔神社の鎮座する鴫野村には徳川方の上杉景勝が布陣しています。
 大坂城は翌年の大坂夏の陣で落城し、五年後の元和六年(1620)、徳川幕府は新たな大坂城の再築を始めました。工事は秀吉築造の城を盛土でおおい、改めて石垣を築き直す大規模なもので、石垣は将軍の命を受けた諸大名によって築かれました。水運にもめぐまれていた鴫野村は各地から運ばれた石材の集積場となり、工事完了後使われずに残された石材からは、付近の護岸石垣として利用されたり、村に下げ渡されたりしたと考えられます。
 八劔神社の石垣は、この大坂築城用の石材を転用したものとみられ、いくつかの石で確認される刻印は、今の大阪城の石垣にも見られる刻印と特徴が共通しています。刻印とは石垣築造の過程で彫られた符号で、今の私たちに豊臣・徳川両家の大坂城をめぐる興亡の歴史、築城にたずさわった人たちの苦労や息づかいを伝えてくれています。

平成二十九年三月 城東区役所

引用 神社境内の掲示より

◆地車詳細
形式:鴫野型
大工:不明 (生野区小路村にて製作)
彫刻:相野一門
製造年:1888年(明治21年)
購入年:1893年(明治26年)
①改修年:1954年(昭和29年)
 改修大工:田中金蔵
②改修年:2008年(平成20年)
 改修大工:大下工務店
 改修彫刻:御堂製作所
③改修年:2019年(令和元年)
 改修大工:大下工務店
 改修彫刻:川原正士・辰美工芸

◆歴代鴫野西之町地車
・先代(初代?):詳細不明、旧大和川の堤防より転落し、彫刻は村で分配処分。1954年の改修時に現地車に再び取り付けられる。
・現地車(2代目?):大阪型。

現地車製造年・購入年・改修について 先代地車について
参考)社団法人大阪観光協会 大阪のだんじり

姿見

左が前方、右が後方。

狭い台幅、低い位置の肩背棒で勾欄周りが広く、柱で一旦くびれて、屋根に繋がる。
メリハリが効いた鴫野独特のスタイルです。

側面より

鴫野西之町地車は鴫野南・中・東の地車とは異なり8つ擬宝珠で、改修前から三枚板に彫刻を持つ地車でした。

斜め前より

斜め前より(改修前)

2011年に撮影した写真です。
今の方が飾りつけがあっさりしています。

斜め後より

破風

破風の形状も鴫野南・中・東地車とは少し異なり、蓑甲が手前に張り出しておらず、テリが控えめです。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方: 『獅子噛』
小屋根: 『獅子噛』

川原正士師の作品に交換されました。川原一門の獅子噛はやはり人気ですね。

鬼板(改修前)

上から
大屋根前方: 『獅子噛』
小屋根: 『獅子噛』

改修前の獅子噛も大変良い表情をしていました。

懸魚

大屋根前方懸魚・桁隠し:『 素戔嗚尊八岐大蛇退治』

素戔嗚尊は八劔神社にお祀りされている神様です。

小屋根懸魚・桁隠し:『加藤清正虎退治』

今回の改修で新調されました。樹木の彫刻は竹と松の二種類があります。

小屋根懸魚:『鷲』
小屋根桁隠し:『飛竜』

以前は獣単品の彫刻でした。

天蓋

豪華に一マス毎に彫刻が施されています。

車板

大屋根前方車板:『宝珠を掴む青龍』

こちらは改修前の作品が残りました。大迫力の作品で、今の時代にこれ程のオーラがある彫刻は作れませんね。貴重です。

車内車板

車内車板:『天乃岩戸』

前方懸魚同様、神話が彫刻されています。

側面車板

右面大屋根側:『宝珠を掴む青龍』

左面大屋根側:『宝珠を掴む青龍』

大屋根側車板にも貴重なオリジナルの作品が残っています。左右で阿吽になっています。

木鼻

木鼻:『阿吽の唐獅子・牡丹』

今回の改修で交換されました。唐獅子はそれぞれ手に物を持っています。

木鼻(改修前)

木鼻:『阿吽の唐獅子・獏』

どっしりと風格のある表情でした。

飛獅子

飛獅子

飛獅子の彫刻が設けられており、細かなところにこだわりを感じます。

柱・水引幕

柱:『鳳凰・牡丹』

伊勢込み彫刻です。

脇障子

右面:『鬼若丸鯉退治』
左面:『箱王丸五郎』

今回の改修で新調されました。

脇障子(改修前)

脇障子:『宝珠を掴む青龍』

以前は後ろに折ることができるものでした。

三枚板

正面:『信州川中島大合戦』

今回の改修で大きく変わった箇所です。まるで板勾欄型のように大きく人物が彫刻されています。
近年は細かい彫刻で埋め尽くされることが多い三枚板ですが、先日新調された諏訪地車しかり、人物を限って大きく彫刻することが今後のトレンドとなるか!?

車板・三枚板一体で龍虎相撃つ場面、一般的に描かれるものとは立ち位置が逆です。
他にも立ち位置を逆にしている地車があったような気がしますが、すぐには思い出せません。いずれにせよこだわりを感じる点です。

角障子

左面:『坂田怪童丸』
右面:『駒若丸義仲』

三枚板(改修前)

正面:『虎』
以前は獣の彫刻でした。

角障子(改修前)

角障子:『獅子の子落とし』

井波彫刻でしょうか?比較的新しい唐獅子の彫刻が入っていました。

側面三枚板

右面:『源頼政 猪早太廣直 鵺退治』

右面:『牡丹に唐獅子』

以前の右面三枚板。

左面:『五條大橋の出会い』

側面三枚板は源平モノでした。

左面:『牡丹に唐獅子』

以前の左面三枚板。車板のものとは彫り方が異なります。

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『牡丹に唐獅子・七福神』
縁葛:『干支』

縁葛は貴重なオリジナルの作品です。

後方
勾欄合:『牡丹に唐獅子・七福神』
縁葛:『干支』

後方は架木を途中で終わらせ、中間に宝を配置するスタイルが採用されました。編み込みを施し、宝を取り付けるスタイルはじわじわですが消えつつあるようです。

右面
勾欄合:『牡丹に唐獅子』
縁葛:『干支』

左面
勾欄合:『牡丹に唐獅子』
縁葛:『干支』

土呂幕

前方:『桶狭間の戦い 義元の最期』

土呂幕は以前の改修で取り付けられたものを引き継いでいます。
土呂幕の彫刻は細かく、三枚板及び車板は大ぶりな彫刻で、どちらの彫刻好きも楽しめます。

後方:『本能寺の変 信長の最期』

左奥には明智光秀。中央には信長に槍を向ける安田作兵衛、槍で下の武者をつく森蘭丸。右には寺の階段で応戦する織田信長。

右面:『 大坂冬の陣  鴫野今福の戦』

右面大屋根側

右面小屋根側

八劔神社が彫刻されています。

右面大屋根側:『後藤又兵衛』

佐竹軍を襲撃しています。

右面小屋根側:『木村重成』

左面:『大坂冬の陣  真田丸の戦い 』

左面大屋根側

左面小屋根側

左面大屋根側:『榊原康勝』

左面小屋根側:『真田幸村』

台木

上が右面、下が左面
台木:『玄武』

台木:『玄武』

先端の金具の字体が格好いいですね。

金具

①破風中央:『唐草模様・雲海に宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』 角が手前に張り出した特徴ある金具です。
③破風端:『唐草模様』
④垂木先:『左三つ巴紋 木瓜紋・西の文字』 大屋根と小屋根では紋と西の文字の上下が逆です。
⑤脇障子兜桁・破風端:『西の文字・唐草模様に西の文字』 唐草模様に紛れて西の文字を入れるのは面白いですね。
⑥宝:『龍』

獅子噛の裏と台木に銘があります。見物の際はお忘れなきよう。

いかがでしたでしょうか。

久しぶりに鴫野の地車を見ると、新しい発見が色々ありました。
今年の夏・秋は久しぶりに鴫野・今福の地車を改めてじっくり見てみるのも面白そうですね。

鴫野西之町の皆様、この度は地車改修おめでとうございます。

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