大阪市鶴見区安田住吉神社 安田地車

皆さんこんにちは。

今回ご紹介させて頂くのは鶴見区安田の地車です。

安田の地車は秋にしか曳行されておらず、他地域と祭礼日が被るため、なかなか見に行けない地車ですね。
近年では2010年5月に花博開催20周年記念イベントにて展示されたこともあるようで、その時に見られた方も多いかもしれません。

私がこの地車をはじめて見たのは2014年で、11時頃に行ったのですが曳行中ではなく、小屋で子供達がお囃子を叩いていました。
数が減りつつある古い大阪型です。

それではご覧ください。

大阪市鶴見区安田住吉神社 安田地車

◆地域詳細
宮入:安田住吉神社
小屋所在地:神社の敷地内
歴史:河内国若江郡安田村の豪族・百姓が天文2年(1533)に大和川からの水難を避けるため当地に移住し、旧地名を村名として用いたことに由来。

◆地車詳細
形式:大阪型
製作年:明治30年頃の説がある。
購入年:昭和40年6月
大工:不明
彫刻:不明
 
◆地車経緯
・先代(初代):昭和初期~30年代まで存在していたことが確実。かなり大型で重く、曳行に苦労した。
彫刻・躯体の一部を残して焼却。
・現地車(2代目):布施の長堂より購入。 

◆地車修理/箇所
・昭和59年に修理
 
引用)
歴史について
鶴見区ホームページ 区名、地名の由来 
参考)
製造年・購入年について
社団法人大阪観光協会『大阪のだんじり』 

姿見

前方より

どんどん数が減少している古く小ぶりな大阪型。大屋根前方の破風は作り変えられたようです。
小屋での撮影のため、後方・側面は写せていません。

斜め前より

破風

勾配が急で、端は少し反っています。

大屋根前方のみ交換されているようです。
2008年の時点で新しい屋根になっているので、2000年代に一度修理されているようです。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

3面とも獅子噛ですが、どれも異なった表情をしています。
いったい誰が彫刻したのでしょうか?

箱棟

上から
右面大屋根:『龍』
右面小屋根:『飛龍』
左面大屋根:『龍』
左面小屋根:『飛龍』

小屋根の獅子噛と睨み合う龍は他の地車でも見かけますね。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『阿吽の鶴』

小屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『猿』

車板・花戸口虹梁

大屋根前方車板:『宝珠を掴む青龍』
花戸口虹梁:『唐獅子』

前方車板は良いですね、かなり立派な龍です。
花戸口虹梁は後述の土呂幕の部分を見ていただければ分かりますが、元は前方土呂幕だった可能性があります。

車板

右面です。
大屋根:『吽の龍』
小屋根:『牡丹に吽の唐獅子』

左面です。
大屋根:『阿の龍』
小屋根:『牡丹に阿の唐獅子』

左右で阿吽になっています。味のある彫刻ですね。

持送り

持送り:『波』

車板の下に持送りがつきます。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『唐獅子・力神』

飛獅子

飛獅子:『唐獅子』

屋根の隙間にきちんと飛獅子が設けられており、大工仕事の拘りを感じます。

脇障子

左が右面、右が左面。
脇障子:『松・竹・梅』

こちらは縁起の良い題材ですね。
人物や動物が来たりしますが、植物オンリーというのもなかなか渋いです。

三枚板

正面:『牡丹に唐獅子』

正面は車板と一体になっています。
身体の大きさ的に上が親、下が子でしょうか?

宝を編み込まずに取り付けてくれているので、見学しやすかったです。

右面:『牡丹に唐獅子』

左面:『牡丹に唐獅子』

三枚板は左右で阿吽の関係は無いようです。
左面は下に子獅子が見えますね。

角障子

角障子:『昇龍・降龍』

大阪型の角障子で私が好きな題材です。格好いいですね。

勾欄合

上が前方、下が後方。
勾欄合:『二十四孝』

上が右面、下が左面。
勾欄合:『二十四 孝 』

前方左端の空にはお星様も…茶目っ気のある彫刻ですね。
と、言うよりもこの彫刻が作られた時代も星はこの形→☆(星マーク)で認識されていることに驚きです。

縁葛

上が前方、下が左面。
縁葛:『波濤』

縁葛は四方ともシンプルに波の彫刻が入っていました。

土呂幕

上が前方、下が後方
土呂幕:『牡丹に唐獅子』

前方は取り外され、物入れとして使用されています。
先ほどご紹介した、花戸口虹梁は元々ここにあったのではないかと。

右面です。
上が大屋根側、下が小屋根側
土呂幕:『牡丹に唐獅子』

左面です。
上が大屋根側、下が小屋根側
土呂幕:『牡丹に唐獅子』

どれも耳が立った唐獅子です、特徴ありますね。

台木

上が右面、下が左面。

台木に彫刻はありません。

要所

①小屋に飾られていたもの:改修前の大屋根でしょうか?
②小屋に飾られていたもの:もしかして先代地車の部品?
③角障子上部:雲海の彫刻で垂木を僅かに支えています。
④前方妻台:昔はロープを回していたであろう穴があります。今は引き綱環を使用しています。

金具

①破風中央部:『唐草模様・雲海と宝珠』
②破風勾配部:『昇龍・降龍』
③破風端部:『唐草模様・雲海』
④垂木:『菊紋』
⑤脇障子兜桁:『花角紋』
⑥肩背棒先:『安・田』の文字。

いかがでしたでしょうか?

年が経ち、良い色合いをした地車でした。
各所の題材がほぼ動物であるところがまた良いですね。
次は是非動いている様子を見てみたいものです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。 

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