高槻市春日神社 前島地車

皆様こんにちは。

今回はいよいよこの地車を記事にしたいと思います。
マニアの中でも時より話題にあがるだけに存在は知っていましたが、他地域でも祭礼シーズン真っ盛りの10月上旬の土日にしか見ることが出来ないため、毎年見物を忘れがちになっていました…
しかし、そう毎年見逃す訳にもいきません、今年こそは!と意気込んで見物に行ってきました。

この地車の特徴は何と言っても圧倒的彫刻の量です。
地車を好きになったからには是非とも見ておきたい一台ですね。

それではご覧ください。

 高槻市春日神社 前島地車

◆前島の歴史
 春日神社は、天児屋根命を祭神とする。
創建の年月は不詳であるが、12世紀頃、藤原摂関家が桧尾川右岸一帯の荘園「安満庄」を領有していたことから、在地領民等が藤原氏の氏神春日社を勧請したとみられる。
 以来、近在の鎮守として住民の信仰厚く、江戸時代後期の文化・文政期からは、近郷から壇尻が繰り出し、盛大な祭礼が行われたという。
昭和29年(1954)以後、壇尻巡行は中止されていたが、昭和52年に東天川で復活、同55年には前島の壇尻も修復された。毎年秋の祭礼では、勇壮・華麗な飾り立てが目を楽しませる。
 また天川一帯は、古くから新田開発が盛んで、当地の森田家には、天川水帳(高山帳)と呼ばれる古文書が残っている。
これは、高槻城主高山氏が太閤検地(1582~94)以前に行ったとみられる検地帳で、高山氏の政治をしる貴重な資料として、昭和49年3月、市の有形文化財に指定された。
平成2年2月 高月氏教育委員会
(春日神社の掲示より)

◆地車詳細
形式:大阪型
製造年:1854(嘉永7年)
修理年:1980(昭和55年)
大工:不明
彫刻:相野伊兵衛
姿見

左が前方、右が後方

もう既に物凄い彫刻量に圧倒されます。
形式としては大阪型に当てはまります。

側面より

大屋根と小屋根の段差は少なく、全周勾欄がまわります。
縁葛が二重になっているのが特徴です。

斜め前より

提灯や金具も目を引きますが、何といっても勾欄より下の彫刻…特に台木の詰まり具合が半端ではありません。
記事の最後の方にきちんと写真を載せていますので、後ほどじっくりとご覧ください。

破風

勾配は緩やかです。

提灯持ちが取り付きます。
桁隠しが取り付きますが、下端のラインは懸魚とほぼ揃えてある小さなものです。

鬼板

大屋根前方
鬼板:『鍾馗の鬼退治』
提灯持ち:『武者』

鍾馗の鬼退治は私の好きな題材の一つです。
家屋の鬼板にもある題材で、獅子噛同様、魔除けの意味合いがありそうです。

上から
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』
提灯持ち:『兎』

獅子噛の表情は迷うことなく相野伊兵衛師の作品ですね。

懸魚

大屋根前方
懸魚:『飛龍』
桁隠し:『飛龍』

全て飛龍で揃えてあります。

小屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『牡丹』

作品によっては激しく掴み合っているものもありますが、ここの猿と鷲はまだ平和的です。

枡組

枡組:『牡丹』

先端は籠彫りで牡丹になっています。

車板・枡合・虹梁

大屋根前方
車板・枡合:『素戔嗚尊八岐大蛇退治』
虹梁:『波濤』
提灯持ち:『鷹』
持送り:『松』
水引幕:『源平合戦』

車板枡合はセットで一つの題材ですが、部材としてはしっかりと分けられています。
吊り下げの提灯にも提灯持ちの彫刻があるのは大変贅沢な仕様で驚きです。

小屋根
車板:『鳳凰』
枡合:『龍に虎』
虹梁:『波濤』
提灯持ち:『鷹』

右面大屋根側
枡合:『武者』
持送り:『朱雀』

右面大屋根側
枡合:『麒麟』

左面大屋根側
枡合:『虎退治』
虹梁持送り:『千鳥』
水引幕:『敦盛呼び戻す熊谷次郎直実』

左面小屋根側
枡合:『麒麟』

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子・麒麟・獏』

3種類の獣が彫刻されています。唐獅子と麒麟の上には力神の彫刻が取り付きます。

花台

花台:『力神』

脇障子

脇障子:『?』

三枚板

正面
三枚板:『大江山鬼退治』

右面
三枚板:『大江山鬼退治』

左面
三枚板:『大江山鬼退治』

鬼の姿は見当たりませんが、山伏姿の頼光一行でしょうか。

角障子

角障子:『武者』

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『唐子遊び』
縁葛(上):『源平合戦・干支』
縁葛(下):『富士の巻狩り』

縁葛の上段は勾欄合のように、干支の動物で区切られた空間に彫刻が施されています。

新田四郎は左よりにいます。

頼朝公は向かって右寄りにいます。
葉や雲の表現まで大変細かいです

後方
勾欄合:『唐子遊び』
縁葛(上):『源平合戦・干支』
縁葛(下):『富士の巻狩り』

上段は八艘飛びの場面です。

右面
勾欄合:『唐子遊び』
縁葛(上):『源平合戦・干支』
縁葛(下):『富士の巻狩り』

現代の彫刻でもそうそうお目にかかれない大変細かい細工です。
まさに神業です。

左面
勾欄合:『唐子遊び』
縁葛(上):『源平合戦・干支』
縁葛(下):『富士の巻狩り』

左面に『浪速彫刻相野伊兵衛直之』の墨書きがあります。

隅木

上が右面、下が左面
隅木:『阿吽の虎』

後方のものだけガラス目になっていません。別の時代に作られたのでしょうか。

土呂幕

前方
上段:『牡丹に唐獅子』
下段:『牡丹に唐獅子』

土呂幕は縁葛の裏側に上段として彫刻がありますので、見物忘れにご注意を。

後方
上段:『雲海に飛龍』
下段:『牡丹に唐獅子』

右面大屋根側
上段:『菊・牡丹』
下段:『牡丹に唐獅子』

右面小屋根側
上段:『牡丹』
下段:『牡丹に唐獅子』

牡丹の花に蝶が彫刻されています。

左面大屋根側
上段:『菊・牡丹』
下段:『牡丹に唐獅子』

左面大屋根側
上段:『牡丹』
下段:『牡丹に唐獅子』

持送り

上が右面、下が左面
持送り:『牡丹』

台木

上が前方、下が後方
台木:『竜宮伝説』

台頭の唐獅子が大迫力です。

上が右面、下が左面
台木:『竜宮伝説』

地の部分が殆ど見えないほど彫刻が施されています。

金具

①破風中央:『唐草模様・上がり藤』『雲海・宝珠』
②破風傾斜部:『唐草模様・菊紋』『昇龍』
③大屋根破風端:『金の波濤』、垂木先:『上がり藤』
④小屋根破風端:『銀の波濤』 色が異なるようです。
⑤勾欄親柱:『龍・梅』 龍は大屋根下の側面まで勾欄にまきつくように続いています。
⑥勾欄親柱:『龍・梅』 梅の枝が地車から大きく飛び出しています。
⑦勾欄親柱:『竹』
⑧勾欄親柱:『竹』
⑨縁板端:『鹿・楓』 唐草模様の他にこの題材が多く使われています。隣の東天川地車にも鹿の金具がありました。
⑩濱・若の文字です。

いかがでしたでしょうか。

撮影していてもどこまで撮影していたか分からなくなり、編集でもどこまで編集したのか分からなくなるほどの彫刻の量を持つ地車ですが、何とか記事1ページにまとめることが出来ました。
容量の関係で省きましたが、持送りや角障子の裏面にもしっかりと彫刻が施されていますので、現地を訪れ、じっくりとご覧になってください。

ご閲覧有難うございました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。