香取市佐原 八坂神社 下仲町区幣台

皆さんこんにちは。

佐原型の山車のご紹介、第2弾!
今回は佐原の本宿地区の山車をご紹介いたします。

本宿地区は10台の山車がありますが、初心者の私の気を惹いたうちの1台が下仲町の山車で、理由はやはり安本亀八作の菅原道真の大人形です。
これほどリアリティのある作品があるのかと圧倒されてしまいました。

人形だけでなく彫刻も大変上品で良い作品を持っており、また佐原最古の山車という希少性もプラスされ、総合的に素晴らしい一台となっています。

それではご覧ください。

香取市佐原 八坂神社 下仲町区幣台

◆山車詳細
①躯体
形式:佐原型
新調年:1822年(文政5年) 古文書より、佐原最古の山車と判明
大工:不明

②彫刻
彫刻製作年:1920年(大正9年)
彫刻師:後藤桂林

③飾り物
題材:菅原道真
飾り物製作年:1921年(大正10年)
人形師:三代目 安本亀八

④額
文字:頌徳(しょうとく)
意味:徳を称えること
額製作年:不明
書家:青野浩

⑤天幕
製作年:1856年(安政3年)

◆下座連
如月会

参考)
香取市ホームページ 山車の構造 https://www.city.katori.lg.jp/smph/sightseeing/matsuri/dashi/dashi_details.html

姿見

左が前方、右が後方

佐原最古の山車とのことで、木の色もかなり年季が入ったものになっています。
玉簾・天幕も山車と共に年季を経て、何とも言えぬ凄み・オーラを放っています。

側面より

斜め前より

よく見ると跳高欄を折りたたんでいます。
そんなことが出来るんですね。

大天井

高欄は跳高欄で、斜め45度に隅木が出る標準的な仕様です。

飾り物

題材は菅原道真です。
佐原の祭りを見るまで三代目安本亀八のことは知らなかったのですが、まるで本当にその人物がその場にいるようなリアルさにすっかり魅了されてしまいました。

このように写実的であるように作られた人形を生人形(いきにんぎょう)と言い、安本亀八は天才生人形師と言われています。

また、安本亀八がこの人形を製作した。という話だけでなく、安本亀八がこの人形が出来た際に佐原に来て「この人形はよく出来たので大事にしてほしい」と言った。との話が残っていることが下仲町の山車を紹介する時にクローズアップされる点です。

天才生人形師が自らよく出来たと言うのですから、それはもう素晴らしい作品に間違いないのです。

お顔をアップで。

佐原には他にも三代目安本亀八の作品があり、荒久の経津主命・南横宿の仁徳天皇・中宿の桃太郎(昭和30年代を最後に休止中)がそれにあたります。

額縁:『鳳凰』

前方全景

格天井

後方:『花鳥風月』

右面:『花鳥風月』

格天井一マス毎に彫刻が施されています。
代表的に右面と後面を。

前方欄間

前方欄間:『勧進帳?』

玉簾

玉簾:『昇龍・降龍』

方立

方立:『山伏』

蕨手

蕨手:『山伏』

蕨手:『山伏』

前方は欄間・方立・蕨手と合わせて山伏の彫刻で統一されています。

後方全景

後方欄間

後方欄間:『山伏』

後方方立

後方方立:『唐子?』

すみません、題材がよく分かりませんでした。

平側全景

右面欄間

前方側:『鞍馬山修行の場』

後方側:『鞍馬山修行の場』

左面欄間

前方側:『梶原景季 箙の梅』

後方側:『梶原景季 箙の梅』

右面柱隠し

柱隠し:『獅子の子落とし・鬼若丸鯉退治』

鬼若丸をアップで。

左面柱隠し

左面:『獅子の子落とし・三日月を背負う畠山重忠』

欄間・柱隠しと源氏に関わるエピソードが彫刻されています。

後方下高欄

後方:『波濤に亀』

後方:『波濤に亀』

右面下高欄

前方側:『波濤に亀』

後方側:『波濤に亀』

左面下高欄

前方側:『波濤に亀』

後方側:『波濤に亀』

佐原に来て感動したのですが、こちらの方面の彫刻は波・水中の表現が大変素晴らしいと思いました。
大阪でいつも見ている彫刻は波の表現こそあれど、水中にある胴体や植物まで表現しているような作品は無いような気がします。

人物・動物の身体を包むような波。水は透明なので水中の部分も見えているはず・・・それを木彫でやってのけるのですから、驚くべき表現技法です。

亀が水中を泳ぐ。ただそれだけのシチュエーションなのですが、作品を見ている側の目線は陸にもあり、水中にもあり、その中間地点にもあり・・・普段通り陸から見るだけでなく、まるで神様の視点のように目の前の出来事を自在な視点から広い目で見ている。
そんな風に感じる作品でした。

擬宝珠

菱紋の形状になっています。
地周り桁の先には違い菱紋、象鼻の先には檜扇紋の金具が取り付けられています。

前方腰回り全景

前方胴羽目・持送り

胴羽目:『唐獅子』
持送り:『波濤に亀』

胴羽目:『唐獅子』
持送り:『波濤に亀』

後方腰回り全景

後方はトンボが取り付くので、胴羽目はありません。
これは佐原型どれも共通です。

右面腰回り全景

右面胴羽目

前方:『牡丹に唐獅子』

後方:『牡丹に唐獅子』

左面腰回り全景

左面胴羽目

前方:『牡丹に唐獅子』

後方:『牡丹に唐獅子』

いかがでしたでしょうか。

地車の記事一本で来ていたこのサイトで、唐突に佐原型山車の記事を出すのは少々不安がありましたが、思いの外皆さんに閲覧いただいているようで、安心しています。
今回の下仲町の記事で、更に佐原型山車の魅力が伝るのではないか?伝われば良いな・・・と思い、記事にしています。

また次回の記事もお楽しみに。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です