吹田市高浜神社 西奥町地車

皆さんこんにちは。

今日はめでたい第1回吹田だんじり祭りの開催日。
そこで当サイトで吹田のだんじりの記事を1台も扱っていなかったことを思い出し、記事化することにしました。

吹田はマニアの間では言わずと知れた、江戸時代の原形だんじりの宝庫です。
歴史を積み重ね、大規模に改修されていない真っ黒に焼けただんじりは貴重な存在で、現役で動いている姿は圧巻ですね。

それではご覧ください。

吹田市高浜神社 西奥町地車

◆地域詳細
宮入:高浜神社
小屋所在地:神社境内

◆地車詳細
形式:大阪型
製作年:天保年間(1830~43年)
大工:不明
彫刻:小松源蔵

姿見

左が前方、右が後方。

交差旗・提灯等、大きめの装飾が目を惹きます。

側面より

しっかりと高さのある地車なので、土呂幕の鉛直方向寸法も大きめになっています。
三枚板は幕式ではなく、彫刻がはめ込まれています。

斜め前より

破風

肉厚な破風、蓑甲の間隔は広めです。
桁隠しはありません。

枡組

大屋根は一段の枡組が入ります。
面白いのが小屋根で、直接の仕口としつつも、柱の途中から肘木を出して桁を支える仕様になっています。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

3面とも獅子噛で統一されており、非常に整った顔つきをしています。

懸魚

大屋根前方:『控鶴仙人』

小屋根:『梅福仙人』

車板

大屋根前方:『宝珠を掴む青龍』 

小屋根:『谷越獅子』

枡合

右面大屋根側:『牡丹に唐獅子』

右面小屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面大屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面小屋根側:『牡丹に唐獅子』

題材はどれも牡丹に唐獅子で統一。
牡丹の花と唐獅子が背景から手前に飛び出すように彫刻されています。

飛獅子

飛獅子が取り付きます、丁寧な大工仕事です。

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子・牡丹』

獅子はどれも真っすぐ向きの半身彫刻。大屋根後方のみ牡丹になっています。

花戸口虹梁

花戸口虹梁:『牡丹』

現在の大阪市内方面のように大太鼓を三枚板に突っ込むようには考えられていないようですね。

脇障子

脇障子:『獅子の子落とし』

三枚板

正面:『高砂』

右面:『松竹梅・鶴亀』

左面:『松竹梅・鶴亀』

左右セットで松竹梅と鶴亀が表現されており、めでたい題材です。
これだけ透かしてありながら、裏板の無い状況で欠損が少ないのは凄いですね。

勾欄合

前方:『波濤に千鳥』

後方:『波濤に千鳥』

右面大屋根側:『波濤に千鳥』

右面小屋根側:『波濤に千鳥』

左面大屋根側:『波濤に千鳥』

左面小屋根側:『波濤に千鳥』

勾欄合の間隔は一般的なものより広くとられており、お陰でダイナミックな波の表現が出来ています。

腰組

腰組が取り付き、建築的な構造美をしっかりと取り入れた構造になっています。

面白いのが外端部を腕木に繋げて直行方向で2階床を支えるのではなく、実肘木により平行方向で2階床を支える構造となっているところです。

実肘木が1本で繋がっていない等の多少の違いはありますが、同じ吹田市神境町も平行方向に実肘木を通して2階床を支える構造になっています。

異なる例として同じ吹田市の都呂須地車を。
腰組と言えば腕木に繋がるこの形状が多いのではないでしょうか。

土呂幕

菱格子になっています。

台木

台木に彫刻は入りません。
木の色が異なるので、過去に交換されているか、材質が異なるようです。
前方は懐がつき、梃子を差せるようになっています。

肩背棒の取り付き方は前後2本を柱に直接繋ぎ、四周に接続、あとは四隅のねじり金物で支持するのみの構造になっています。

金具

①破風端部 破風は端部のみに金具が取り付く仕様です。
②垂木先:『五瓜に唐花紋・左三つ巴紋』
③脇障子兜桁:『五瓜に唐花紋・左三つ巴紋』 左右で異なっています。
④肩背棒先 銅板のみでした。

いかがでしたでしょうか。

改めて見てみると彫刻だけでなく、構造的にも惹かれる点が多い地車だと感じました。
吹田の地車の記事、閲覧数が多ければ引き続き書いてみようと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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