大阪市生野区御幸森天神宮 勝五地車

皆様こんにちは。
久しぶりの図鑑更新です。
管理ページを見ていると、新調勝五地車について調べるために当ブログを訪れた方が沢山いらっしゃるようですので、少し頑張って記事を作成しました。(図鑑は一つの記事を作るのに1日~1週間はかかります…)
さておき、今回新調された地車は先代地車の要素を踏襲している箇所が沢山ありますので、是非先代地車の記事と見比べながらご覧いただけたらと思います。

先代地車の記事はこちらから↓
https://blogs.yahoo.co.jp/danjiribayashi0/49332673.html

大阪市生野区御幸森天神宮 勝五地車

◆地域詳細
氏神:御幸森天神宮
小屋所在地:御勝山古墳から北東部へ少し進む

◆地車詳細
形式:大阪型
製作年:2018年(平成30年)
大工:大下工務店
彫刻:辰美工芸・【KANEKIYO彫刻飯坂】飯坂秀太

◆地車変遷
先代:1889年(明治22年)新調。大阪型、大工は【大熊】永田熊次郎、彫刻は彫清。
現地車:2018年(平成30年)新調。大阪型、大工は大下工務店、彫刻は辰美工芸・KANEKIYO彫刻飯坂。
姿見

左が前方、右が後方。
先代よりひとまわり車体が大きくなりました。 後方の勾欄は架木・平桁がなく、雪洞台・宝台が設けられています。

側面より
土呂幕は幕式ではなくなりましたが、三枚板は幕式が引き継がれました。

斜め前より

斜め後ろより

破風

車格相応に先代よりも幅・高さ共に大きくなっているかと思いますが、大きめのピッチで刻まれた蓑甲、懸魚・桁隠しの大きさ・距離感など、先代地車を彷彿とさせるデザインです。
地車の第一印象はこの辺りで決まりますので、大工さんも非常に苦労された箇所かと思います。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

この地車を見て一番最初に驚いた箇所です。 先代のものと寸分たりとも狂いがない、完璧な復刻品です。
先代地車の獅子噛はここをクリック
辰美工芸の彫刻復刻技術は西淀川区中神車の大修復で一際注目されたのではないでしょうか。 今回の新調勝五地車もその技術によって、愛する先代地車の顔が引き継がれています。

箱棟

箱棟:『梅に千鳥』
箱棟にも彫刻が施されています。 以後ご紹介する中にも梅がデザインされたものが多いですが、恐らく御幸森天神宮の御祀神…菅原道真が愛した梅(社紋にも採用されています)に由来するものと思います。

懸魚・桁隠し

大屋根
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『朱雀』

小屋根
懸魚:『鶴と亀』
桁隠し:『竹に千鳥』

左側の竹にはかぐや姫がおりますので、見物の際はお忘れなきよう。


桁:『梅』

桁に彫刻が施されることは殆どありませんが、新調勝五地車には梅の彫刻が施されました。 大変美しい作品で目を惹かれた箇所です。

飯坂秀太師の作品。

車板・枡合

大屋根車板・枡合:『宝珠を掴む青龍』
構図は先代地車と大体同じです。
先代地車と比べて枡組が入ったため、車板・枡合と二段で構成することも出来ますが、先代地車と見た目が大きく変わらないよう、車板・枡合を一体化させたデザインとなっています。

車内枡合:『宝尽くし』
ありそうでない題材。地車で見たのは初めてです。

小屋根車板・枡合:『猩々』

扇には勝五の文字が書かれています。

枡合・虹梁

右面
小屋根側:『飛龍』

大屋根側は提灯がついてしまったので、撮影できず。 題材は同じです。

左面
大屋根側:『飛龍』
小屋根側:『飛龍』

車板・枡合のところでもご紹介しましたが、妻側だけでなく平側も先代地車と見た目が大きく変わらないよう、枡合・虹梁を一体化させたデザインとなっています。

木鼻

木鼻:『息・獏』

息(イキ)は珍しい彫刻で、由来等が明らかとなっていない獣です。 獏と間違えられがちですが、よく見ると上唇先の豚のような鼻・爪・1本の角など違いが分かります。
社寺彫刻では日光東照宮の陽明門、地車では御堂製作所・辰美工芸が手掛けた野里東・畑原で見ることができます。

木鼻上:『二十四孝』

飛獅子・木鼻

大屋根後方の木鼻の獅子と一体化し、獅子の子落としが表現されています。

水引幕

先代地車も白の水引幕で、新調地車にも引き継がれました。

持送り

持送り:『梅』
水引幕に隠れがちの箇所ですが、ここにも梅のデザインが施されています。

脇障子

脇障子:『黄石公と張良』
飯坂秀太師の作品です。

三枚板(幕式)

正面:『龍』
手前にある宝には牛のデザイン、御幸森天神宮の御祀神である菅原道真の使いです。

右面:『菅原道真と牛』

左面:『天神(雷神)』
道真は死後に天神になったと言われており、それに由来するものです。

勾欄

縁葛は妻側(長手方向)が勝つように組まれています。 これも先代地車を踏襲した仕様となっています。

勾欄合・縁葛

上が前方 勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『牡丹に唐獅子』

下が後方 雪洞台:『唐獅子』 宝台:『牡丹』 縁葛:『牡丹に唐獅子』

上が右面
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『牡丹に唐獅子』

下が左面
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『牡丹に唐獅子』

土呂幕

上が前方:『獏』
下が後方:『犀』

右面です。
大屋根側:『麒麟』
小屋根側:『解豸』

左面です。
大屋根側:『麒麟』
小屋根側:『解豸』

土呂幕は伝説の獣を題材とした作品で統一されています。

台木

台木:『波濤に千鳥』

金具

①破風中央部:『宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍・降龍』
③垂木先:『梅鉢紋』
④兜桁:『梅鉢紋』
⑤肩背棒先:『小・路』の文字。先代同様、旧村名をこの場所に残されました。
⑥台木先:『勝五』の文字。先代は『勝山北』と書かれていました。

いかがでしたでしょうか。

獅子噛・破風・幕式・縁葛の組み方など、先代地車を基調に
①氏神様である菅原道真に関する要素
②枡組・雪洞持ち・程よく上品な細かい彫刻などの新しい要素
をバランスよく取り込み、村の皆さんのこだわり・大工さん彫刻師さんの努力を随所に感じることができる素晴らしい地車が誕生しました。
この地車も先代同様、100年を越えて愛される地車になることでしょう。

入魂式を見ることが出来なかった方は是非夏祭りを見に行かれてください。

勝五の皆様、この度は地車の新調おめでとうございます。

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