
皆さんこんにちは。
今回ご紹介しますのは、尼崎市の北出屋敷地車です。
貴布禰神社氏子地域には現在8台のだんじりが曳行されており、その多くは元は堺市など他の地域で曳行されていたものを購入し、当地仕様に改造したものとなっていますが、北出屋敷地車は数少ない尼崎生まれの地車です。
北出屋敷は現地車の前も地車を所有していましたが、先代は阪神電車と衝突して大破したため、中在家東4丁目の地車を購入し、現在に至ります。
平成21年と令和3年に地車としては珍しく、世界最古の企業として知られる金剛組(主に社寺建築を手掛ける会社)にて修復を行っています。
(※2025年8月6日 改修後の姿を撮影しましたので、画像追加しました。)
それではご覧ください。
尼崎市貴布禰神社 北出屋敷地車
◆地域詳細
宮入:貴布禰神社
小屋所在地:神社境内
◆地車詳細
形式:尼崎型
製作年:天保初期?
購入年:1948年(昭和23年)
大工:地元の船大工の作と伝わる
彫刻:相野一門
改修年①:2009年(平成21年)
改修大工①:金剛組
改修年②:2021年(令和3年)
改修大工②:金剛組
改修彫刻②:木彫古澤
歴史:尼崎市中在家東4丁目→尼崎市北出屋敷
◆歴代北出屋敷地車
・先々代(初代):初代もあり、詳細不明。
・先代(2代目):明治28年頃に大阪市東淀川区三津屋方面より購入、昭和21年11月3日の新憲法公布の祭典の帰りに阪神電車に衝突して大破。
子供地車は昭和9年に福井家が製作したものを昭和33年に購入。現・尼崎市中之町(旧称:大庄西連協)地車。
・現地車(3代目):昭和23年に尼崎市中在家東4丁目より購入。
製造年・購入年・大工・歴代北出屋敷地車について
参考)山車・だんじり悉皆調査 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/
姿見

左が前方、右が後方。
地元大工の手により天保年間に製作された、非常に歴史のある地車で、尼崎型では最古の作品となります。
構造は非常にシンプルで組物はありません。
古い地車にしか見られない三枚板の火燈窓が良いアクセントになっています。

側面より
土呂幕に彫刻は無く、菱格子になっています。
シンプルな構造故、あっさりとした水引幕や注連縄の飾りが、地車によくマッチしており、格好良いです。

斜め前より

斜め後より
改修後の姿見

左が前方、右が後方。
令和3年に屋根まわりの改修を受け、大きく印象が変わりました。
古く、痛みが激しかった鬼板・懸魚が木彫古澤にて新調されています。

側面より
箱棟の彫刻も新調されています。

斜め前より

斜め後より
破風

幅の広い形状で、なで肩になっています。
改修後の破風

改修時に交換されました。
提灯の飾りつけ方も変更され、より破風が見えるようになりました。
鬼板

上から
大屋根前方:『唐獅子』
大屋根後方:『波濤』
小屋根:『玄武』
大屋根前方のみ木の色合いが異なりますが、これは先代地車の作品を移設したもののようです。
改修後の鬼板

上から
大屋根前方:『親子飛龍(親)』
大屋根後方:『唐獅子』
小屋根:『玄武』
木彫古澤により新調されました。題材の殆どは改修前から引き継いだものとなっています。
安直に獅子噛に変更されていないのがポイントで、改修前と比較して現代風にブラッシュアップされた非常に格好良い作品になっています。
箱棟

箱棟:『波濤』
懸魚

大屋根前方:『梅に朱雀』

小屋根:『松に朱雀』
改修後の懸魚

大屋根側:『親子飛龍(子)』
大屋根側は鬼板と懸魚がセットの題材とされています。

小屋根側:『朱雀』
場所は変わりましたが、改修前の題材を引き継いでいます。
大屋根側とスケール感を合わせるためか、2体彫刻されているのが珍しいですね。
改修後の屋根まわりまとめ

大屋根側は鬼板と懸魚セットで親子飛龍と見ます。

小屋根側
鬼板が飾目の地車はどの面も表情が異なりますので、見ていてとても楽しいです。
ふと思いましたが、3面とも飾目の地車は他にあったでしょうか。かなり少数派な気がします。
車板

大屋根前方:『翠虚』

小屋根:『王子喬』
妻側はどちらも仙人の題材となっています。
仙人は後ほど、三枚板の彫刻にも登場します。

右面大屋根側:『唐子遊び』

右面小屋根側:『唐子遊び』

左面大屋根側:『唐子遊び(司馬温公の甕割)』

左面小屋根側:『唐子遊び』
平側は『唐子遊び』で統一されています。
斜め上方に不自然な切り欠きがありますが、古くは肘木のような組物が入っていたのでしょうか。
木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子・獏・象』
花戸口虹梁

花戸口虹梁:『松竹梅』
脇障子

脇障子:『?・黄石公、張良』
黄石公はよく見る題材ですが、反対側はよく分かりません。滝の下で寝ている人がいます。
三枚板

正面:『西王母・東方朔』
三枚板は仙人の題材で統一されており、中央は火燈窓になっているのが特徴です。
正面は長寿を意味するめでたい題材。

右面:『黄安・蝦蟇仙人』

左面:『鶴仙人・張果老』
勾欄合・縁葛

勾欄合・縁葛に彫刻はありません。
土呂幕・台木

土呂幕:菱格子
土呂幕・台木に彫刻はありません。
金具

①破風中央:『菊』
②破風傾斜部:菊紋
③破風端部、垂木先:『左三つ巴紋』
④勾欄親柱・縁葛:『牡丹』
いかがでしたでしょうか。
ご紹介してきました通り、歴史ある地車ですが、祭礼3日目には荒々しい山合わせが行われ、戦うだんじりへと変化するのが面白いですね。
オリジナルを尊重した改修が施されており、令和3年の改修を経てより魅力的で素晴らしい作品へと生まれ変わりました。
まだ見たことがない方は是非、注目して見てみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。