神戸市東灘区本住吉神社 反高林地車

皆さんこんにちは。

春の陽気の訪れと共に、一気に神戸の祭りムードになりつつありますね。
先週からちらほらと、入魂式や行事ごとで地車を出すところも出てきました。
私も気分がそちらに向き、神戸のお囃子を聴きはじめましたので、気分が乗っているうちに今回は神戸の地車を記事にしたいと思います。

反高林區は令和6年に羽曳野市西浦より地車を購入し、現在に至ります。※この地車の西浦時代の記事はこちらから。

ご存知の方も多いと思いますが、この地車は元々神戸型として誕生した地車です。
その後、泉大津へ嫁ぎ外駒を内駒に変更、跳勾欄を擬宝珠勾欄に変更するなど、住吉型仕様の改造を受け、近年まで羽曳野市西浦にて活躍していましたが、100年ぶりに神戸の地に里帰りすることになり、再び神戸型に戻す改造が行われました。

本来の形に戻ったこの地車の姿は非常に似つかわしく、とても良い嫁ぎ方をしたと個人的に思っています。

それではご覧ください。

神戸市東灘区本住吉神社 反高林地車

◆地域詳細
宮入:本住吉神社
小屋所在地:住吉だんじり資料館

◆地車詳細
形式:神戸型
製作年:明治29年頃(1896年)
購入年:令和6年(2024年)
大工:住吉大佐十一代目 川崎仙之助
彫刻:九代目小松源助
改修大工:南工務店 南伸郎
改修彫刻:彫刻飯坂 飯坂秀太
歴史:灘の酒造家が灘区河原村へ寄贈との説 (明治29年頃~大正?昭和?)
→泉大津市上之町 (大正?昭和?→昭和22年)
→泉大津市森町 (昭和22年~平成11年)
→羽曳野市西浦 (平成11年)
→神戸市東灘区反高林 (令和6年)

姿見

左が前方、右が後方。

オリジナルの良さを残しつつ、鳥衾・跳勾欄・外駒・台木の頭を波濤から角型に変更されています。
扉式の土呂幕も前方から後方へと移設され(正しくはそうであったと思われる)、完全な神戸型へ生まれ変わりました。

側面より

虹梁は強度向上のためでしょうか、元々彫刻がメインのものが取り付けられていましたが、しっかりとした構造材に交換されています。
垂木等には元より黒檀が使われていましたが、一新されています。

細かい点ですが、脇障子が彫刻のみのものから框で囲われたものに変更されています。

斜め前より

西浦時代は土呂幕まわり、屋根まわりで高さを上げる改造が施されていましたが、その辺りは詰めて自然な高さに戻されているようです。
それにしても大きく感じるのは神戸ならではの豪華な飾りつけによるものでしょうか。

斜め後より

破風

神戸型ですがテリは控え目です。

全く話が逸れますが、懸魚の下にスマホのカメラが仕掛けられているのに気がつきましたでしょうか。
ズームしたこの写真だと気がつくかもしれませんが、遠くから見る分には全く分かりませんでした。

大体地車にカメラを設置すると存在感が凄いのですが、木に近い色のマスキングテープで本体を覆う徹底ぶりで、かなりステルス性が高かったです。
余談でした。

枡組

シンプルな大斗肘木となっており、牡丹の籠彫りが施されています。

鬼板

上から
男屋根前方:『獅子噛』
男屋根後方:『獅子噛』
女屋根:『獅子噛』

3面とも獅子噛で統一されています。
片側に5個ずつ渦があり、複雑な鬣の流れが表現されています。

箱棟

箱棟:『雲海』

懸魚・桁隠し

男屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『麒麟』

女屋根
懸魚:『鷲』
桁隠し:『龍』

首の角度が修正され、鳳凰と鷲は下から見た時に目線が合うように目玉が交換されました。

車板・枡合

前方:『櫻井の別れ』

後方:『加藤清正虎退治』

特に時代や戦記モノでの題材の縛りはなく、有名な場面から採用されています。
そう言えば、住吉大佐の地車ですと、同じ神戸市田邊地車のように、前方はやや斜め前に張り出した龍の彫刻である印象がありますが、この地車は異なりますね。

枡合

右面男屋根側:『牡丹に唐獅子』

右面女屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面男屋根側:『牡丹に唐獅子』

左面女屋根側:『牡丹に唐獅子』

平側は唐獅子で統一されています。
男屋根側は親子で3匹、女屋根側は2匹の構成になっています。

木鼻

上が右面、下が左面。
木鼻:『阿吽の親子唐獅子』

全身彫刻タイプで、全て親子になっています。

水引幕

水引幕:『珠取り龍』

金鱗製作のとても綺麗な幕です。

脇障子

脇障子:『昇龍・降龍』

反高林に嫁ぐ際に新調された彫刻です。元は敦盛呼び戻す熊谷次郎直実でした。

飛獅子

飛獅子が取り付きます。
ここも木鼻や枡合同様に親子獅子が徹底されています。

見送り幕

正面:『神功皇后 応神天皇併産す』

本住吉神社の御祭神の神功皇后にちなんだ題材です。

右面:『神功皇后 応神天皇併産す』

左面:『神功皇后 応神天皇併産す』

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

後方
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

一ノ谷合戦の鵯越の逆落としの場面です。地元神戸の題材となります。

右面男屋根側
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

右面女屋根側
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

左面男屋根側
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

左面女屋根側
勾欄合:『二十四孝』
縁葛:『源平合戦』

梶原景時の箙の梅のシーンですね。こちらも地元神戸にまつわる題材です。

土呂幕

前方:『源平合戦』

後方:『武者』

後方:『武者』

扉式の方の土呂幕は反高林に嫁ぐ前から彫り直されたものが取り付けられていました。

右面男屋根側:『義経八艘飛び』

右面女屋根側:『義経八艘飛び』

左面男屋根側:『宇治川の先陣争い』

左面女屋根側:『宇治川の先陣争い』

洗い掛け、再彩色が行われ、綺麗になりました。

台木

前方:『波濤に玄武』

後方:『波濤に兎』

妻台木は反高林に嫁ぐにあたり、新調されています。
前後で題材が変えられており、拘りを感じます。

右面:『波濤に鯉』

左面:『波濤に鯉』

金具

①破風中央:『雲海に宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端部:『唐草模様』 金具は元々綺麗でしたので、再整備して使っているように見えます。
④垂木先:『桔梗紋』 神紋は全て当地のものに変更されました。
⑤勾欄先:『桔梗紋』・縁葛:『唐獅子』
⑥張采棒先:『桔梗紋』
⑦台木先:『反高林』の文字。

銘板

貴重な住吉大佐の銘板です。

いかがでしたでしょうか。

反高林區が初代地車で住吉地区の地車曳行に参加したのが平成29年。そこから7年かけ、立派な現地車を購入・お披露目されました。
初代地車で参加していた頃がまだ最近のように感じますが、現地車購入までの7年間にコロナ禍を挟んでいることを考えると、その間の地区の皆さんの苦労と、祭りに対する熱意は本当に凄いものだと感じています。

現地車で刻まれていく反高林區の歴史がこれからもとても楽しみです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です