平野区杭全神社 西脇組地車

皆さんこんにちは。

2020年初の記事となります、今年もよろしくお願いいたします。
さて、今回は現在修理中の西脇組地車をご紹介したいと思います。

西脇組は平野郷杭全神社の祭礼で曳き出される一台で、平野郷のだんじり祭りは曳き手の熱気・勢い・盛り上がりは大阪市内でも一際目立つものがあります。
西脇組に関するエピソードとして真っ先に思い浮かぶのは、過去にアメリカで曳行したことがあることが一番ではないでしょうか。他にそのような話は聞いたことがありませんね。
近年では平野郷から唯一『だんじりin大阪城』に継続して参加し、平野の祭礼スタイルを積極的に外部へと発信されています。

それではご覧ください。

平野区杭全神社 西脇組地車

◆地域詳細
宮入:杭全神社
小屋所在地:平野西小学校から内環状線の歩道橋を渡り、東進したところ。

◆地車詳細
形式:大阪型(元・堺型)
製造年:1856年(安政3年) 解体時に墨書きが出る
大工:堺・木村一門と云われる
彫刻:服部清七
改修大工:住吉大佐
改修彫刻:赤金由松

参考)製造年・大工について 『山車だんじり悉皆調査』 http://www5a.biglobe.ne.jp/~iwanee/

姿見

左が前方、右が後方。

足回りは狭いですが、肩背棒・勾欄まわりからグッと幅が広がり、そのまま屋根へと真っ直ぐ続きます。
角型の肩背棒は大阪市内の地車では平野以外で採用されている例が少なく、特徴とも言えるのではないでしょうか。
余談ですが、生野区の田嶋地車等も昔は角型でした。

側面より

車体の特徴から大阪型には分類されますが、住吉大佐が手掛けた地車ならではの独特の骨格の主張を感じます。
元は堺型と言われていますが、その形跡は今では全く分かりません。

平側の勾欄合が4つになっているのが特徴で、平野では市町と西脇組だけがこの仕様です。

斜め前より

近年では大阪市内でも地車の大型化が進みましたが、やはり平野の地車は大きいです。

破風

勾配は緩やかで、段差もそれほど大きくはありません。

枡組

少し見えにくいですが、枡組が入っています。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『雲海に鷲』
小屋根:『獅子の子落とし』

大屋根前方以外は飾目になっています。
平野の地車は飾目になっているものが多いですね。
大屋根前方は赤金師による彫り替え、他はオリジナルと思われます。

懸魚・桁隠し

大屋根前方
懸魚:『鳳凰』
桁隠し:『麒麟』

小屋根
懸魚:『獅子の子落とし』
桁隠し:『唐獅子』

懸魚はオリジナルで、改修時に下方に彫刻を継ぎ足しているように見えます。

小屋根の鬼板と懸魚はセットで『獅子の子落とし』の題材と捉えます。

車板・桝合・虹梁

大屋根前方
車板:『波濤』
枡合:『宝珠を掴む青龍』
虹梁:『雲海』

小屋根
車板:『雲海』
枡合:『鳳凰』

枡合はどれも手前に張り出すように彫刻が施されているのが特徴です。

右面大屋根側
枡合:『吽の龍』
虹梁:『雲海』

右面小屋根側
枡合:『吽の麒麟』

左面大屋根側
枡合:『阿の龍』
虹梁:『雲海』

左面小屋根側
枡合:『阿の麒麟』

左面が阿、右面が吽で統一されていました。

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『唐獅子』

全身が彫刻されるタイプです。全部で10体あります。 

間仕切り

間仕切り:『松』

火燈窓になっています。
この辺りはオリジナルの題材に合わせて、住吉大佐×赤金師コンビでよりブラッシュアップされている印象です。

脇障子

脇障子:『富士の巻狩り』

先に申し上げておきますが、この地車の脇障子・三枚板・勾欄合・土呂幕の題材は全て富士の巻狩りで統一されています。

三枚板

正面:『富士の巻狩り 源頼朝』

右面:『富士の巻狩り 仁田四郎猪退治』

左面:『富士の巻狩り』

三面とも贅沢に使って富士の巻狩りで統一です。

三枚板はオリジナルと見て良いと思います。
非常に状態が良く残っているので、珍しく、貴重です。

勾欄合・縁葛

前方
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

後方
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

右面大屋根側
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

右面小屋根側
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

左面大屋根側
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

左面小屋根側
勾欄合:『富士の巻狩り』
縁葛:『雲海』

土呂幕

前方:『山水草木』

これは赤金師よりももっと後の時代に彫り変えられていますね。

後方:『富士の巻狩り』

右面大屋根側:『富士の巻狩り』

右面小屋根側:『富士の巻狩り』

左面大屋根側:『富士の巻狩り』

左面小屋根側:『富士の巻狩り』

土呂幕も富士の巻狩りで統一。
一部顔が交換されているので、何ともな感じですが、これもオリジナルと見て良いと思います。

台木

右面:『波濤』

左面:『波濤』

台木は交換されています。

妻側:『波濤』

梃子を差す懐がある構造は大阪市内の地車ならではです。

金具

①破風中央部:『雲海に宝珠』
②破風傾斜部:『昇龍』
③破風端:『雲海』
④桁先:『亀甲花菱紋』
⑤垂木先:『五瓜に唐花紋』
⑥柱足元

いかがでしたでしょうか?

平野郷では近年、背戸口組が大改修を行ったのが記憶に新しく、獅子噛が交換されたことで大きく印象が変わりました。
西脇組地車はどのようになって帰ってくるのでしょうか、春の完成が待ち遠しいですね。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

「平野区杭全神社 西脇組地車」への2件のフィードバック

  1. 投稿ありがとうございました。
    勉強になります。
    またゆっくり撮影にいらして下さい。

    1. 地車写真保存会

      暖かなコメントありがとうございます。
      まだ昨年の修復後の姿を拝見出来ておらず、新しい鳴物の音色も聴けておりませんので、気兼ねなく祭りを見に行ける日が来ることを楽しみに、また改めてご訪問させていただきます。
      今後とも当サイトをよろしくお願い申し上げます。

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