東大阪市神劔神社 小若江地車

皆さんこんにちは。
暖かくなり、地車がイベント等でよく出される時期になりましたね。 私は相変わらず、上地車のイベントばかりを見に行っている次第で…記事にしていませんが、先日の上之町春祭りにもお邪魔して参りました。
今週末は神武祭が開催されますが、天気の方が心配ですね… 橿原市の地車10台中9台が一気に見れてしまう美味しいイベントなんですが、いずれも過去に1年に1度しか出ないからと必死に見に行った地車ばかりで…嬉しいような悔しいような複雑な気持ちです。 まぁ何回見ても飽きない地車なので、良いんですけどね(苦笑)
さて、先日入魂式の曳行の様子を記事にした小若江地車ですが、今回は地車の方を詳しくご紹介させて頂きます。 それではどうぞ。

東大阪市神劔神社 小若江地車

◆地域詳細
宮入:神劔神社
歴史:往古は農地であったが、歴代庄屋を営んでいた武村家(現在の武村土地株式会社)二十代目当主、武村亀二郎の尽力により、近畿日本鉄道へ鉄道用地の寄付、日本大学大阪分校(現在の近畿大学)の誘致・土地の寄贈・大学通りの整備促進が行われ、大正時代からいち早く宅地化が進んだ。

◆地車詳細
形式:大阪型
製造年:不明
購入年:1957、58年頃 (昭和32、33年)
改修年:1945年頃?(昭和20年代)、1987年(昭和62年)、2016年(平成28年)
大工:不明
彫刻:【彫清】
改修大工①:【大音】飯田松太郎
改修彫刻①:【萬屋】松田正幸
改修大工②:【彫忠】田中忠
改修彫刻②:【彫忠】田中忠
改修大工③:【大下工務店】大下孝治
改修彫刻③:【辰美工芸】

◆歴代小若江地車
・先代(初代?):明治期新調。昭和24年に羽曳野市西ノ口に売却、その後個人へ。
・現地車(2代目?):八尾市の【大音】より購入。

◆地車修理/箇所(分かる範囲で記述しています。)
・昭和20年代…一部彫刻入替。
・昭和62年…箱棟彫刻追加。
・平成28年…洗い、締め直し、勾欄合一部入替。

参考)
歴史について
『武村土地株式会社』 http://www.takemura-t.co.jp/
購入年・購入先について
『山車・だんじり悉皆調査』 http://www5a.biglobe.ne.jp/%257Eiwanee/
姿見

左が前方、右が後方

縁板が2枚のため、縁葛の部分がかなり分厚く見えます。
村中の道が細いためか、肩背棒がかなり車体に寄せて取り付けられているように感じます。
背丈が控えめですが、電線をくぐりながら曳行している様子が見られましたので、電線の影響があるのではないかと思われます。

側面より

擬宝珠が全部で8つの勾欄です。 屋根が結構分厚いように感じます。

破風

恐らくオリジナルの破風です。

鬼板

上から
大屋根前方:『獅子噛』
大屋根後方:『獅子噛』
小屋根:『獅子噛』

大変良い獅子噛が付いていますね、彫清の作です。
今回の修理で着色が取れ、目玉が綺麗になりました。

都島区楠地車(元・生野区勝五地車)によく似ています。

箱棟

上から
大屋根右面:『鶴』
小屋根右面:『鶴』
大屋根左面:『鶴』
小屋根左面:『鶴』

彫刻が入っているとは限らないので、見落としがちな箇所ですが、しっかり彫刻が入っていました。
彫忠の作と思われます。

懸魚・桁隠し

大屋根前方
懸魚:『朱雀』
桁隠し:『鶴』

小屋根
懸魚:『猿に鷲』
桁隠し:『猿』

良い獅子噛に引き続き、懸魚にも良作が勢ぞろいです。
肉厚で大迫力の朱雀、鷲の堅い羽と柔らかい尾の表現。細部まで非常に丁寧に仕上げられています。

車板・間仕切り

上から
大屋根前方車板:『宝珠を掴む青龍』
間仕切り:『朱雀』

車板と持送りが一体となった少々珍しい構造。
隅にある縦方向に広いスペースを上手く利用して、二体の龍が胴体まで表現されています。
間仕切りの朱雀は、住吉型と比べると控えめですが、スペースの許す限り脇の部分にも部材を取っているようです。

車板

上から
右面:『吽の龍』
左面:『阿の龍』

左右で阿吽になっています。こちらも前方同様、車板と持送りが一体になった形状をしています。
金綱と提灯であまりよく見えないのが残念ですが、スペースギリギリまで龍の胴体が彫られているように見えます。

木鼻

上が右面、下が左面
木鼻:『阿吽の唐獅子』

全部で10体います。
脇障子の上にある木鼻は松田正幸師の作品です。
この部分を撮影している際に強く感じたことですが、この地車は仕口を隠すことを徹底しているようで、なかなか接合部が見えません。

飛獅子

飛獅子:『親子獅子・牡丹に唐獅子』

ここなら見えるだろうと少し離れた場所から大屋根と小屋根の隙間を見たのですが、これまたギリギリまで破風形状に合わせて作られ、見えにくい裏面まで徹底的に彫刻されていました。

柱巻き

柱巻き:『牡丹』

柱の四方を囲むのではなく、前方・側面の2面にかけて彫刻されています。
接合無し、1枚で彫刻されているものと思われます。見事な彫り抜きです。

脇障子

脇障子:『武者』

題材はよく分かりませんが、良い表情の武者が彫刻されています。

三枚板

正面:『牡丹に唐獅子』

なかなか衝撃的だった場所で、広いスペースの真ん中に堂々と大きな唐獅子が居ます。
動物の口に編み込みをするのは大変なことでしょう。

右面:『牡丹に唐獅子』

左面:『牡丹に唐獅子』

三枚板には間違いないのですが、大屋根側同様、車板と持送りが合体したような形状をしています。

勾欄合

上が前方、下が後方
勾欄合:『唐子二十四孝』

上が右面、下が左面
勾欄合:『唐子二十四孝』

修理前の後方は十二支の動物が入っていましたが、辰美工芸の彫刻に入れ替えられました。
元々存在している彫刻もかなり細かい作品です。大概折れてしまうものですが、無事に残っています。

縁葛

前方:『?』

後方:『忠信碁盤投げ』

右面:『?』

左面:『?』

勾欄持ち

上が前方、下が後方
勾欄持ち:『阿吽の唐獅子』

大きめサイズの勾欄持ちがいます。

土呂幕

上が前方、下が後方
土呂幕:『竹に虎』

右面:『竹に虎』

左面:『竹に虎』

珍しく、土呂幕が全て竹に虎で統一されています。
立体にする箇所と彫り抜く箇所の使い分けが見事で、薄い板からこれほどの奥行きのある世界観が表現されるとは驚きです。

台木

上が右面、下が左面

2枚ホゾでしっかり固定。 ホゾが波模様を貫通していたり、(後述しますが)不自然な箇所に柱の跡があり、新調当時からこの台木であったかどうかは怪しいところです。 大音にて取り付けられた?

要所

①仕口:大阪型地車によくある、組物のないタイプ。
②柱巻き:側面まで1枚で作られています。
③④銘板:彫忠で修理した際に銘板が取り付けられています。
⑤肩背棒:車体ギリギリに取り付けられている様子。
⑥懐:現在の柱より前の位置に、埋め込みが見受けられます。
⑦⑧妻台:元々別の曳き綱の通し方をしていたようです。

金具

①②破風・葺地中央:大屋根と小屋根で飾りが異なります。大小の唐獅子の金具が豪華です。
③破風端:金具がつかないようです。大音が関わった地車はこの傾向にある様子?
④屋根傾斜部:『昇龍』
⑤垂木先:『左三つ巴紋』
⑥脇障子兜桁:『左三つ巴紋』
⑦勾欄親柱:金メッキの金具で統一。
⑧勾欄:『唐草模様』
⑨肩背棒先:『左三つ巴紋』

いかがでしたでしょうか?

当日はかなりスピード訪問で、現地でじっくり見る暇が無かったのですが…改めて写真を見ていると、徹底して仕上げられた彫刻が盛り沢山の地車であることがよく分かりました。
祭礼は秋とのことで、なかなか他所と被って見に行きにくい時期ではありますが、機会があれば是非また足を運んでみたいと思います。

小若江の皆様、地車の修理完成・曳行復活おめでとうございます。

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